明日は一歩だけ勇気を出して前へ☆~唯川恵さんのエッセイから~
当地は久しぶりに雨も上がり、晴れやかな空がひろがりました。
気温は21度とかなり下がっていて、末っ子はまだ小さいので体調コントロールが
できません。また風邪を引いてしまいました。
さて、昨日の食堂でランチしながら読んだ文庫本はコチラでございます。
唯川恵さんのエッセイ
私は20代後半に、唯川さんの作品にハマッていた時期がありました。
小説からエッセイ、ありとあらゆる作品を読みふけりました。
何故、その頃の私がそんなにも唯川さんに惹かれたのか。
理由はあります。
唯川さんは作家になるまでにOL歴が長く、本当にごく普通のOL生活を送って
いました。
なので、その頃に描かれる小説というのは皆、二十代の結婚を意識し始めた
揺らぐ女性というのが多かった。
つまり、当時の私とヒロインが年代的・境遇的にも重なる部分が多かったのです。
私はあるときは唯川さんの作品に
自分がこれから、いかに生きるべきか?
という切実な疑問への答えを探そうとし、
またあるときは、自分が経験できないOL生活や恋人とのアバンチュールを
期待して読みふけりました。
とにかく片っ端から読みあさりましたね。
当時、出ていた唯川さんの作品はほぼ読破したといっても良いでしょう。
それほどにハマりました。
その影響を受けてか、当時、私が書いた作品はやはり、その頃の自分と同年齢の
ヒロインを主人公とした現代小説が多いです。
その頃、私は唯川さんの小説がおもしろいだけでなく、とてもリアルに
若い女性の揺らぐ気持ちだとかを描き出していて、その表現力のものすごさに
この人はいつか大きな賞を取るだろうと漠然と予感していました。
また、そうでなきゃ、見る人の眼がないだなんても考えていました。
後に、唯川先生は直木賞を見事に受賞されています。
そのときは、やはり、自分の目に狂いはなかったと一人で勝手に喜んでいました。
やがて、そんな私も再婚。
二十代も終わり、アラサーになってからは流石に唯川さんの小説は読まなくなりました。
もう、そういう恋愛や結婚に揺れ動く時代は終わり、今度は
育児や結婚生活の方に現実が移行したからです。
ただ、長男を妊娠したばかりの頃、三十代前半に
唯川さんの小説を一冊読みました。
それは結婚した夫婦を描いていて、そのときに、唯川さんの描くヒロイン像が
少し変わってきた-年代が少し上がったことに気づきました。
私がハマっていた頃はOLでしたが、その頃になると、主婦も描かれるようになって
いたのですね。
その小説を読んだ少し後に、先生は直木賞を取られたと記憶しています。
久しぶりに読んだ先生の作品はやはりおもしろくて、ヒロインの恋愛時代から
結婚、妊娠、出産に至るまでの恋人との関係をリアルに描いていました。
こんなことを書くのはおこがましいのですが、
数年ぶりに読んで、ますます良い物を書かれるようになったと
尊敬度は更にアップ。
あれから随分と経ちました。唯川先生は既にアラ50、私もアラフォーになりました。
今、先生の作品を読むことは殆どありません。
しかし、このエッセイは日赤の売店で待ち時間に見つけて買いました。
なので、出かけるときのバッグに入れて、出先で時間があるときに少しずつ
読んでいます。
悩んだり、愚痴ったりしていただけでは、決して
前に進めない。前に進むためには、自分の方向を決めなければ
ならないのです。
それにはまず目的を見つけること。そして見つけたなら始める。
とにかく始める。それも明日からではなく、今日から始めることだと、
私は思っています。
エッセイの一部から抜粋させていただきました。
唯川さんの作品は小説だけではありません、エッセイも良いんです。
先生のエッセイを読んでいると、直木賞作家でも、ごく普通の人間で、
自分と同じように悩み抜いて挫折を繰り返して生きてきたんだなぁと
それは作家としてだげなく、一人の女性としてもそうなのだと
大きな共感を覚えます。
そして、もか゛いている今から抜け出すには、ほんの少しの勇気と決意と行動力が
ありさえすれば良いのだ教えてくれるようです。
迷える女性たちへの的確でちょっと厳しく、とても優しいメッセージがつまっています。
これからも少しずつ、先生の世界を味わっていこうと思います。
作品名:明日は一歩だけ勇気を出して前へ☆~唯川恵さんのエッセイから~ 作家名:東 めぐみ