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キリンの首

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むかしむかしのそのむかし
キリンのくびは、今よりも短かったとか。

ある森に、1匹のキリンがおりました。
キリンは、いつも森でひとり。
いつもゆめを見ていました。

いつの日か、自分のところに
すてきなキリンが訪ねて来てくれる。
そして、仲良くなって
ずっといっしょにいてもらえると。

キリンは、毎日毎日待ちました。
今日かしら?明日かしら?

すてきなキリンの姿を早く見つけようと
森にある丘に登りました。
でも見えません。
もっと見えるように背伸びをしました。
でも見えません。
首を少し伸ばしてみました。
でも見えません。

そんな毎日を繰り返しているうちに
キリンの首は、いつの間にか伸びてしまい。
今の、首の長いキリンになったのです。


『どう?』
「どうと言われましても・・・。ありがちじゃないですか?」
原稿をテーブルの上に置く
『だめってこと?結構いいと思うんだけどなぁ』
「いや~。先生の担当になって5年目。
この話し的には、とても真実味があって分かるんですが・・・」
『は?真実って何よ?
そーじゃないっしょ
私は、夢の童話作家なのよ!
夢!ドリームよ!』
担当の意味の分からないコメントに少々ご立腹の先生を、制止ながら
「いやーだって・・・
先生、初めてお会いした時よりーたいぶ伸びましたよ」
『え?』
「首」


待ち続け、
待ち続けて・・・

首を長くして待つ。


作品名:キリンの首 作家名:こまごめ