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真朱@博士の角砂糖
真朱@博士の角砂糖
novelistID. 47038
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カミナリを狩る少年

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凍える寒さの冬の夜、遠くの空から雷鳴が轟くのを聞き少年は銀の弓と銀の矢を背負い小屋を出た。

外套の襟を立て大きなポケットに手を突っ込み、白い息を吐く。微かに覗く月の明かりを受けて光る雪の上に跡をつけながら、少年は森へ向かう。

森は暗い。
少年は外套の下から、首にかけたペンダントを取り出した。銀の鎖の先に、銀の枠のついた硝子の匣。中には白の淡い光。
少年は立方体の光を頼りに、森を進む。

やがて視界がひらけ、そこは森に囲まれた湖のような広大な雪原。
少年は森の出口で立ち止まり、木の影に身を潜めた。光の立方体を胸元へ仕舞い、背中から銀の弓を降ろす。

低く長く、雷鳴が轟いた。

少年は木の影からそうっと雪原を見る。雪原の中央には、雪を纏った一本の背の高い木。
少年はその木からまっすぐ上に視線を上げた。
不穏な雲がたちこめ、渦を巻いている。
少年は背中の矢筒から矢を取りだし、弓を構えた。静寂。

瞬間、空が光る。
少年の手が矢から離れるのはそれと同時だった。
間髪入れず背から矢をもう一本。
光る。
光る。
光る。
雷鳴は鳴らない。

少年が弓を構えたまま沈黙を守る中、静かに風が吹き雲が流れ、やがて月明かりが雪原を照らした。
少年は弓を下ろし白く長い息を吐く。

矢を収め弓を背負い、雪原を突っ切りまっすぐに中央の木に向かって歩く。
そのうちに木の周囲に発光する物体が見えてくる。
少年は木の周囲をぐるりと歩きながらそれを回収する。

それは、銀の矢に貫かれた雷の心臓。
枝のように細長い、ひとの腕ほどの長さの心臓から矢を引き抜き、少年はそれを脇に抱える。

少年は全部で4つの雷の心臓をその脇に抱え、月明かりの雪原を後にした。