小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ハッスル

INDEX|1ページ/1ページ|

 

昔、雲仙普賢岳が噴火したとき、テレビのリモコンで火山が噴火したんだと僕考えた。毎日猫の毛をなでていると猫は円形脱毛症になってしまった。「スフィンクスは」と親が言った。「あんな猫がいたらなえる」。僕の猫の名前はハッスルという。特に意味がない。FMの投書のペンネームと同じで特段意味がないのである。

親は相変わらずたまによくわからないことを口走る。病院に入院してからおかしくなったのだ。お医者様も良くわからない。「何で盲腸の手術で頭がおかしくなってしまったのか」といっていた。人の親を頭がおかしい呼ばわりするなと医者に言うと医者は僕に逆切れして僕のことを「お前みたいな患者がいるからみんな付け上がるんだよ。」とたこ殴りにした。僕ら一家はたいしたことのない盲腸手術と猫の円形脱毛から魔境に入ったと錯覚してしまった。30年たった今では頭がおかしかったのだとあの医者が一蹴した理由がわからないでもない。僕らが正当な側だったならきっと警察がお医者さんを懲らしめてくれただろうが。

そして僕らは国立記念公園の山深くにバスタブをひっくり返したような旧ソ連の軍事施設か収容所みたいな掘っ立て小屋を作りそこに生活することにした。親がスフィンクスの幻覚を見るようになったためだ。ピラミッドよりも高いところにいると幻覚が見えなくなるらしいのだ。それなら別に近所の裏山でいいじゃないのと僕が言うと、「国立公園じゃないとだめなの」といって親は僕のことをたこ殴りにするのだった。猫の円形脱毛症もスフィンクスを連想させるためにできる限り見せないようにしなければいけなかった。それならいっそ猫を掘っ立て小屋から追い払ったほうが良かったかもしれないが、猫が医者に告げ口する可能性があるからやめたほうが言いと親は言っていたのである。

国立公園内での生活はあまりに退屈でたまに環境省からくる役人がこんなところに小屋を建ててはだめですよといいにくるので、そいつにナタで襲い掛かってそいつらの肉を食らって生活をしていたのです。そんな生活をしてたのだから山賊みたいなものですね。日本にはいないけどパキスタンやイランあたりには山賊って言うのがいるらしいですね。日本にも昔はいましたね。

頭がおかしいのが僕か親かわからないことに気がつきだしたころ、親は突然消息を絶ち、この小屋に住んでた人が父親だったか母親だったか、どんな名前だったか、どうしてここにいたのか、ここがなんていう名前の国立公園でなんていう山系なのかもわからなくなってしまった。猫の名前がハッスルという名前ということしか覚えておらず、ハッスルはもうスフィンクスのように毛のない猫になって僕の膝の上でしょんべんをしていたのである。はっと気がついて自分が頭のおかしい人間だと気がついたときはもうすべて手遅れだったのだ。
作品名:ハッスル 作家名:nekopoo