君の後ろを ~現在~
体育大会
「3年は最高学年だから、1、2年にいいところみせるんだぞー」
って先生はよく言うけど。
「とにかく。暑すぎるー!!」
「うるさいよ」
「あ、ごめん(苦笑)」
この、うるさいって言ってきた人は海斗。
海斗の翔と一緒で小学校からクラスがずっと一緒の男子。
偉いし、足も速いけど、
そんなところを、自慢してくる腹立つやつ。
「佑香ぁー。体育大会、頑張ろうねっ。 最後だし。」
「優勝したいねー」
ここから、うちら3年2組の2週間の練習は始まった。
団体種目の1つ。
長縄は、最初に比べてたくさん飛べるようになった。
リレーは、他の2クラスよりもダントツで速い。
これは、優勝できるかも。
皆がそう思った。
体育大会本番。
皆が全力を出し切った。
騎馬戦も、長縄も2位だったけど、
リレーは、全て1位だった。
行進だって、1位をとった。
人事は尽くした。
あとは、天命を待つのみ。
「結果発表をします」
「3年生。優勝は・・・
1組です」
その瞬間、うちは自然と涙が出た。
きっと、結果発表の担当の人が泣いてたから。
だから。
泣いたんだ。
悔しなきなんかじゃ・・・ない。
閉会式が終わってすぐ、
「大丈夫か?」
と、海斗が聞いてきた。
泣くのに精一杯だったうちは、頷くことしかできなかった。
そのあと、
女子の皆とハグした。
衝撃だったのは、男子も泣いてたことだった。
ある男子がつぶやいた。
「9点差だったのに・・・
1組と、9点差だったのに」
そんな差だったら、やっぱり悔しいよね
そう思うと、また涙がこぼれた。
肩を揺らして、たくさん泣いた。
そんな時、
「いいかげん、泣き止めよ。」
と、あのいつも自慢ばっかりしてきて腹立つ海斗が
あの海斗がうちの頭を帽子でポンポンして、通り過ぎながら言った。
一瞬だけど、海斗の後ろ姿が、
後ろ姿が、
かっこよく見えた。
作品名:君の後ろを ~現在~ 作家名:Rest.