小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

本当にあったゾッとする話5 -夜歩く者達-

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

さて、本題に入ろう。
同じ頃のことだ。
元々夜型人間だった私は、休前日の夜はいつもアパートの自室で、ウィスキーの水割りなんぞ飲みながらテレビを見て夜更かしをしていた。
深夜2時半ころだったろうか。水割りに飽きた私は、何かでウィスキーを割って飲みたくなり、冷蔵庫を覗いてみた。あいにく、冷蔵庫にはウィスキーを割れそうな飲み物はなにもなかった。
そこで私は、外の自動販売機でコーラを買おうと思った。
自動販売機は、歩いて2・3分のところにある、いつも私が利用している風呂屋の前にあった。
私は小銭をジャージのポケットに突っ込むと、サンダルを履いて部屋を出た。
アパートの敷地から道路に出ると、直線距離で200メートルほど離れた風呂屋の煙突が見える。アパートと風呂屋の間は、大きく湾曲したアルファベットのCの字を書くように細い道で繋がっており、その間は畑になっていて見通しは悪くないのだが、畑の周囲に沿って植えられた植木のせいで、見えない部分も多かった。
私は風呂屋に続く細い道を歩き始めて、ほんの10メートルほど歩いたところで、妙なものを目にした。
畑の周囲の植木の隙間から見え隠れに、何人かの集団で歩く人たちの姿が見えたのだ。その集団は風呂屋の前を通り抜けて、私の方に向かって歩いて来るようだった。
私はその集団に、何か不穏な印象を受けた。それがどんな人たちなのか、細かい部分は見えないのだが、こんな時間の住宅街を集団で歩いていること自体、普通のこととは思えなかった。
そのまま歩き続ければ、数十秒後にはその集団とすれ違うことになる。
私はそれは避けたいと思い、道の途中で脇道にそれた。その脇道は袋小路で、すぐに民家につきあたってしまうことは分かっていた。私はそばの電柱の陰に身を隠し、その集団をやり過ごしてしまおうと思ったのだ。
まもなく、脇道の電柱の陰から、その集団が通り過ぎて行くのが見えた。
私が見ることができたのはほんの数秒だったが、やはりその集団は異様だった。
まず、年齢や職業がばらばらだった。
スーツをびしっと着た中年の男、灰色の作業着を着た初老の男、主婦らしい中年の女、黒い詰襟の学生服を着た中学生、老人、他にももう1・2名いたようだが、詳しく見て取ることができなかった。
全員が無言で押し黙ったまま、俯き加減で歩いていた。何かの古い戦争映画で見た、戦争中の行軍と雰囲気が似ていた。ちょっと知り合い同士で居酒屋で飲んでいて家に帰る途中、という雰囲気はまったくなかった。
私はその路地の電柱の陰に、たっぷり100数えられるほどの時間、隠れていた。
やがて、恐る恐る電柱の陰から出て、元の道に出てみると、あの集団の姿はもうどこにもなかった。

私は走って風呂屋まで行き、自動販売機でコーラを買って、また走ってアパートまで戻った。
しかし、せっかく買ったコーラでウィスキーを割って飲むこともせず、そのまま布団にもぐりこんで寝てしまった。もう酒を飲む気が失せていたのだ。

結局、あの集団は何だったのか、今でもわからない。謎のままとなっている。
誰か、推測でも構わないので、私が納得できそうな答えを教えてくれる人はいないだろうか。