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小鳥遊悠里花
小鳥遊悠里花
novelistID. 43486
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真夜中3

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夢だったのか。



まだ学生の頃、バイトの帰りだった。
とある所でバイトをしていた。
もちろん馴染みの人がやっている店だったので特に問題はなかった。

問題はその帰り。
繁華街にあったのであまり遅くならない時間に帰してもらっていたのだが、しつこくボクに言い寄ってくる男がいた。
その男がどうもゲイでしかも女顔の少年が好きらしく、女装子とかも好みらしいと聞いていた。

その人に絡まれるためいつも誰かが一緒だった。
とにかく周囲は酔っぱらいなど、関係ないという感じで見て見ぬふりのところがあって、送ってもらっていた。
たまたまその日は忙しくて送ってもらえなかった。

まさかあんなことが起きるとは思ってもいなくて。
後から事態を知った店長が謝罪に来ていたが、そんなことで済むほどボクの状態は良くなく。
何が起こったのか最初わからなかった。

なぜこんなことが行われていたのか。
その男はあまりに自分の言う通りにならないボクに業を煮やし、車で拉致した。
記憶はそこまででそこから出てこないのは、あまりにひどい出来事だったから思い出さないようにしているんだと言われた。

後にその男は逮捕されたのだけど、そこからフラッシュバックを起こし、思わずしゃがみ込み、そして外へ出ることがある意味恐怖になっていった。
明るい時間帯なら問題なくても暗くなるともうダメだった。
バイトは店長に無理だと言う事で辞めることにし、学校へはなんとか通えていた。

しかし視線を感じる。
気のせいなのか奴のものかわからない視線の前に外に出ることも出来なくなり、友人に迎えに来てもらうようになってやっと出て行くようになっていた。
よーこさんがボクの様子をおかしいと思いだしたのは、最初のODをやった後だった。

今までは隠れて自室でやっていたのをリビングでやってしまい、そこを発見。
致死量ではなかったものの救急車で連れてかれ、気がついたら病院だった。
様子がおかしいということで心療内科でもらっていた薬をこっそり溜めては飲みを繰り返していてそこに違うのも混ぜて飲むようになって。

そこから服薬管理されだしたものの、またボクはやってしまった。
眠いれないと言って眠剤をもらうようになりそれをまたわからないように貯めこみ、ある時それと包丁を使い腕を切った。
意識が遠のくのを感じながらこれで楽になると。
もうあの悪夢みたいなところから開放されると。

もう辛くも苦しくもないと。
誰にも吐露出来なかった。
辛くて、苦しいあの体験を。

口にしようとすると吐き気を感じ、過呼吸になり。
言葉にできるところまででいいと医者に言われ、最近紡ぎ出せるようになってきたあの時の記憶。
もう、何もかも自由になりたかった。

生きていてもいいことはないと思っていた。
けど、病院にいてそして生きていて、横で母親が泣き啜り、よーこさんがいる。
生きている意味も価値も今でもあるのかわからない。

ただある人に言われた。






――一回死のうとして死ねなかったのは、あなたはまだ生きて行かなくてはならないのです。誰かに出会って助けるために。






その言葉の意味を今、噛み締めている。

真夜は確かに助けて欲しいがためにここに来たのならば、ボクが出来る最大限の方法で彼女を救えるなら救ってあげよう、と。
作品名:真夜中3 作家名:小鳥遊悠里花