女性がめざめるということ・日常の落し穴~映画 恋の罪を見て~
昨夜は久しぶりに現代物のDVDを見ました。
内容はミステリーです。実際に東京で起きた猟奇的な殺人事件を元にしたもの
らしいです。
何というのか、あらゆる意味で、衝撃的な作品です。
タイトルは恋の罪~Gilty of romance~。
準新作なので、まだ比較的新しいもではないでしょうか。
昨夜、見終えてから紹介記事を書こうかとも考えたのですが、流石に遅かったので
メモを取る程度にしておきました。
そのメモを参考に書きます。
内容としては、有名作家の奥さんが自己にめざめるという話です。
人間の内面-それも奥底の更に奥深く、普段は誰でも絶対に
他人には見せないであろう部分をあらわにして描き出しています。
人の心は複雑です。他人の目には、この人は、こういう人だという定着し
た観念を与えていても、本当は、その人がどんな人間なのか、心の奥底では
何を考えているのか判らない。
そういう面は誰にでも必ずあります。そういう他人にはみえない部分を鋭く
えぐり出して描いているのです。
実際に起きた事件を元にしているだけに、余計に迫ってくるものか゜あります。
役者さんたちの体当たりの演技も更にそれに光を添えています。
。。。というか、リアルすぎます
そのリアルさが怖いくらいでした。
作家の奥さんは貞淑な人妻。それがある日、自己にめざめる。
言葉としは響きは良いですが、何のことはない、堕ちていくのです。
あそこまで堕ちていく人は滅多にないと思いますが、
滅多にない出来事ではあるけど、逆にいえば、確率的に限りなく可能性は低くても
結局は、だれにでもまた起こり得ることでもあると思います。
平凡な日常にある日突然、疑問を感じ始める。
大抵はそこで終わりです。
しかし、その向こうへと行く大きな一線を越えてしまう人は
まったくいないわけでもなく、また、自分がそうなることだって考えられる。
だからこそ、単なる作り物のドラマとして片づけることはできない作品です。
それが日常生活に潜む落とし穴の怖ろしさであり、
この作品は、そのことをテーマとして提示しています。
色々な問いを見る人に投げかけてくることでしょう。
これを見終わった人は、改めて自分の心の奥底を覗き、
普段は敢えて見るとこのない素の自分と向かい合うことになると
思います。
そういう意味-自己の内面、人間の本質を描き出したという点では
とても優れているといえましょう。
ただ、幾つかは視聴者として疑問を感じる部分もありました。
日活作品だということですが、何もここまで濡れ場を入れる必要があったのかな
というのが率直な問題です。
確かにある程度は話題性としても、またヒロインが性的に堕ちていくという設定からも
必要かとは思いますが、正直、これでもか、これでもかというくらいの連続で
そのせいで途中で見るのを止めようかと思いました。
映画としての価値を大切にするのなら、やはり、こういった場面はそこそこに
しておいた方が嫌みがない。
あまりに多すぎると、社会的な問題を提起している作品なのか
単なるエロ映画なのか判らなくなってしまうと思いました。
また、何より見終わった後の印象。
清々しさとか、良い意味での余韻を求めたい人は避けて通った方が
ベターです。
救いようがないとまでは言いませんが、ラストには事件が解決して
問題はとりあえずなくなったというのに、
軽い喪失感が残りました。
別にここで自分の信条を持ち出さなくても良いのですが、
自分の作った作品を見て、見た人に元気を出して貰ったり
人生も捨てたものじゃない! と感じてもらえることを目標としている
アマチュア物書きとしては、あまり共感を感じられませんでした。
でも、一人の人間として個人的には共感のできる作品でした。
誰にでも起こり得ることだからこそ、これを見て、けして他人事ではないと
自らを戒めるという意義はあると思います。
作品名:女性がめざめるということ・日常の落し穴~映画 恋の罪を見て~ 作家名:東 めぐみ