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どうぶつのいっしゅかもしれない

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問診。

「で、どういった自覚症状がありますか?」

「はい、最近急に猫舌になってしまって……」

「ふむ、前はそうじゃなかった?」

「はい、以前はこんな事なかったんです。猫舌なんて……些細な事なのかも知れないですけど、情報系のTV番組で同じような症状がでていると、深刻な病気の兆候かもしれないって言っていたもので気になって……」

「ふむ、自覚している症状、何か他にもありますか?」

「はい、鳥肌が立つことが多いです。あと鳥目になってきました」

「それらも最近からですか?」

「そうです」

「なるほど、他には?」

「足の裏に魚の目があります」

「ふむふむ」

「あと髪の毛が猫っ毛になってきました」

「ほー」

「それとエラが張ってきました。前はこんな顔じゃなかったんですが……」

「ふーむ……以上ですか?」

「あ、それと腰が海老のように曲がって猫背になってしまいました。それなのに胸が飛び出てきて、鳩胸になってしまいって……そうですね。以上が私が自覚している症状のすべてです」

 医者は、今までのやり取りを書き込んでいったカルテに目を通しながら言う。

「今言われた自覚症状をまとめますと、猫舌で鳥目で鳥肌が立ち、魚の目があって猫っ毛でエラが張っている。それと猫背+鳩胸ですね」

「はい、そうです」

「えー並び替えると猫舌で猫っ毛で猫背、鳥目で鳥肌で鳩胸、魚の目でエラが張る……とこういうことになりますね?」

「そうです。先生?なんで並べ替えたんですか?」

「わかりやすいようにです」

「……そうですか……あっ、後最近、唇が鼠色になってきました」

 医者、無言でカルテに追記する――唇が鼠色……っと。

「先生?!」

「はい?」

「正直におっしゃってください。私はどうなるんでしょうか?どんな結果でも受け入れます。だから、包み隠さずに私の病状を、ハッキリおっしゃってください」

 医者、カルテから目を剥がし、患者を見つめることしばし、絞るように言った。

「……わかりました。こうして面と向かって、事実をお伝えするのは、私としても大変心苦しいのですが……」

 医者は何かを探すように窓の外に視線を逃して……

「既に手遅れです」

 患者、唇を「貝のように固く閉じて」しばらく黙り込む。

 その後、小動物の毛色を彷彿とさせる頽廃の色宿した唇開いて、おそるおそるに尋ねた。

「私、この先どうなるのでしょうか?」

 医者、答えた。

「犬死にです」