インスピ
今日は久々に、雨の匂いを嗅いでみた。何処かにあなたが、隠れているような気がして。
何処にもいない事、分かりきっているのにね。
空見たって、地面覗き込んだって、耳澄ませても眼を凝らしても、いないものはいない。
ああ、つらいなあ。
ああ、やめたいなあ。
やめちゃいたいな、こんな長いゲーム。
後ろを向いて歩く毎日は、きっとこれからも変わらない。あなたが雨粒になった日から、一日だって欠かさないマイナス思考。それでも夢を見てしまう癖は相変わらず変わらず。
こんなんじゃ、あなたに、笑われてしまう。
詩的なあなたの笑い声、聞ける日なんてもう来ないのに。
加虐心でいっぱいになったこの心を、誰か喰らいつくしてくれたらいいのに。
四つ打ちテンポ120の音楽が降ってくる。
この音は、あなたが隠れていそうだなんて目論んで、一人ふわりと舞い上がる。
一度でいいの。
一度でよかった。
たった一度だけでも、
あなたが切り取る世界を、
この眼に脳に人生に、
焼きつけられたらなって。