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Butterfly Effect

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Butterfly Effect ♯01



「私には不思議な力があります」

 と、冒頭でイミフなカミングアウトをぶっ放す女子高生が主人公の小説があるとしたら、皆さんは、読みたいと思うだろうか?

 私は思わない。

 「不思議な力がある」という時点で、どうせ昨今の少年漫画にありがちな、異能者同士のバトルみたいな展開なんだろうとだいたい読めてしまうし、もしそうじゃないとしても、「私には不思議な力があります」なんて、小説の冒頭のフレーズとしては、奇をてらいすぎている感がありありで、それだけでも読むのを躊躇してしまう――つまり、きっとたぶんこんな出だしで始まる小説は、非常に読み難い難解な比喩や描写に満ち溢れた読者置き去り小説に違いない。と私は思うのです。

 だから、私の体験を、その様な出だしから語りたいとは思っていません。起こったことだけを素直に記述していきたいと思っています。後、この話は、異能者同士のバトルなんかじゃありません。かといって、熱々の青春真っ盛り恋愛小説でもありません。淡い恋愛譚ではありますが、多分読んでもきゅんとは来ないと思います。

 きっと読んでも面白くはないと思います。別にハードルを下げておいて、「読んでみたら意外に面白かったよ」的なリアクションを引き出そうと画策している訳でもありません。私にすれば、娯楽小説を書いている訳ではなくって、ただ自分の体験を書き残しておこうかなぁと何となしに思った気まぐれによって筆を執っているに過ぎないのです。ただ、私がいつも書いている日記のように、自分を主人公的立場に置いて、主観的に出来事を記述していくスタイルで書き記しますので、どうしても小説のような形態になってしまうかと思います。これは、私の文章の癖のようなものだと思ってください。

 前置きが長いです。今書きながら自覚しましたw

 では、そろそろ本題に移りたいと思います。この3ヶ月の間に起こった出来事を語る前に、まず皆さんに知っておいて欲しいことがあります。

 聞いてください。

「私には不思議な力があります」

*****

 唐突な質問で申し訳無いのですが、学級委員長になる人物って、ある程度固定化されていませんでしたか?平均以上に勉強が出来て、大人しめの性格、そして、頼まれたら「NO!」と言えない典型的な日本人気質。統計を取ったわけではないのですが、前述した人物像に当てはまるキャラクターが学級委員長になる割合は非常に多いと思います。(後、眼鏡率も高い)

 私ですか?まさにそれです。今述べた人物像にバッチリ当てはまるキャラクターです。勿論断りきれずに学級委員長をやっています。眼鏡ですか?掛けています。まぁ、簡単に言えば、The委員長的なキャラです私。え?部活ですか?吹奏楽部です。担当している楽器?バス・クラリネットです。

 段落を変えて次の質問に答えましょう。次に来る質問として妥当なのは当然、好きな男子のタイプは?ですよね?それは……山本君みたいなタイプです。同じクラスの山本君、山本一(やまもとはじめ)君。名前は至ってありきたりなのですが、そのプロフィールはぶっ飛んでいます。

 山本君は卓球部のエースです。山本君のプレイスタイルはペン表速攻、つまり彼は、前陣速攻型の両ハンド攻撃を得意とする卓球選手です。使用ラケットが、ルーティスJでラバーがハモンドFAスピード特厚という時点で、彼がいかに好感の持てるタイプの人間であるか、お分かり頂けると思います。え?分からない?というよりも、どうして卓球部でもない私が、そんなに卓球の事に詳しいのか疑問に思われますか?……それはですね……山本君が好きすぎて、彼の好きな卓球まで好きになってしまって、あれこれと本を買って調べたからです。あ?言っときますけどストーカーとか、危ない人では無いですから私。

 先程、山本君は卓球部のエースだと言いましたが、少々訂正しなければならない箇所があります。時制が間違っていました。正確には「山本君は、元卓球部のエースでした」となります。お詫びして訂正いたします。

 山本君は素敵な男子ですが、ヒザが弱すぎます。それは彼という男子の唯一のウイークポイントと言ってもいいでしょう。度重なるヒザ(左)の故障に次ぐ故障のため、彼は夏のインターハイを前にして、卓球部を辞めざるをえなくなりました。それは悲劇いや、惨劇といってもよいほどの……え?彼のルックスですか?勿論イケメンです。イケメン過ぎる卓球部員です。なんであんなイケメンが卓球何ていうマイナーなスポーツをやっているのかという疑問を、卓球部の顧問の先生までもが、平然と周囲に漏らしている事からも分かる通り、彼は卓球部員にしておくには惜しいイケメンなのです。

 だから私、山本君が卓球部を辞めたと聞いた時、正直少し嬉しかったです。でもそんな私の気持ちを山本くんに気取られてしうまうと、きっと私は嫌われてしまうだろうから、そんな素振りを見せないように努めて平然として日々過ごしていました。でもある時、ついつい私余計な事を……え?山本君のプロフィールが思ったほどぶっ飛んでいない?……いや、ぶっ飛んでますよ彼は、彼のお父さんは、日本で五指に入るほどの資産家です。実家は豪邸です。山本御殿ってご存知ですよね?町外れのあの豪邸の事です。知らないなんて言う人は、きっとこの花巻町の住人ではないのでしょう。この街に住んでいる人で、あの悪趣味……失礼、豪奢な、まるで姫路城をちょびっとだけ小さくしたような家に住んでいる山本君のお屋敷を知らない人なんていないと断言出来ます。

 あ、後、山本君左利きです。坊主頭です。二重まぶたで、無茶苦茶睫毛がカールしていて、ヤセ型で、勉強が出来て、後気さくで、誰にでも優しい性格です。ジャンガリアンハムスターの雌を飼っているという情報もあります(未確認)。

 彼のプロフィールを纏めます。卓球部の元エース、実家が超の付く金持ち、名前がとんでもなく普通、坊主頭、イケメン、プレイスタイルはペン表速攻、使っているラケットは、ルーティスJでラバーがハモンドFAスピード特厚(ここ重要)あ、後、アゴに7つのホクロがあります。そのためだと思うのですが、彼の仇名は「北斗」です。たまに「世紀末救世主」と呼ばれているのを見たこともあります。

 そんな山本君が私のタイプ、ドストライクな男子なのです。ギャップ萌えです。色んな要素が詰め込まれすぎて、何が何に対してのギャップであるのかとんと不明な彼ですが、それも含めて、私は山本一という男子の事が好きなのです。

 私は、世話焼きの委員長というキャラをふんだんに利用して、あれこれとどうでもいい用事を見つけては、山本君に話しかけ、近づいていきました。彼が卓球部のエースばりばりだった頃までは、私たちの関係は、ある程度良好だったと思います。しかし……彼が膝の故障で卓球部を辞めてしまい。塞ぎ気味に一人、教室の窓側の席に座ってため息をついていることが多くなった頃、私は、いつもの軽口のつもりで言った余計な一言で、彼を傷つけてしまったのです。その一言とは……

 突然ですがクイズです。
作品名:Butterfly Effect 作家名:或虎