戻らない時間【詩集4】
夢の彼方
おまえの目はいつも遠くを見ている
何を見ている?
俺には……分からない
それは誰にも手の届かぬはるけき高みだ
遠い空を舞う鷹のように
誰も知らぬはるか遠く
おまえにしか見えない世界
おまえにしか見えない未来
地上にいる俺たちには永遠に見えない
遠い世界
おまえの夢を共に追うのが俺の夢だ
……だが
いつかおまえは飛び去ってしまうのだろう
この手の及ばぬはるか彼方へ
おまえの夢は近づいているか?
もう手が届きそうか?
俺はその日がくるのが恐い
何よりもそれを願っているのに
おまえが夢をつかむ日を待ち望んでいるのに
その日がくるのが恐いんだ
俺は……臆病者だ
この手にしたものをなくしたくない
何よりもおまえの幸せを願っているのに
俺はわがままで勝手で
卑怯ものだ
それでもおまえの夢のために戦おう
おまえと共に
俺が生きてゆくために……
作品名:戻らない時間【詩集4】 作家名:maki