言の寺
のんれむ姫
「眠れない……」
寝言のように君が言う
隣枕の上
天井向こうにあるはずの
生プラネタリウム見つめ
君は頑ななシナプスの一塊
「あんなに愛し合ったのに?」
ため息混じり僕は言った
麗しの君よ
あゝ不眠症の眠り姫よ
「ここはまだ手付かずよ」
と君 唇に指這わせ
上目遣いに僕を見やる
「おやすみ」
僕は気恥ずかしくも
君のために王子役を演ず
「おや……すみ……」
姫は眠りに堕ちた
「やれやれ」
真に眠れぬは僕なり
こんな可愛い寝顔が隣にあっては
眠れるはずもない
僕は役を降りることも出来ずに
君の眠りをみつめているよ
僕の台本 次のセリフ
朝の口づけのその後に