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首なし殺人事件

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「もう・・これしかない。」
ある公園のベンチに独り座りながら俺、東 俊介はつぶやいた。
あたりには誰もいない。
(夜中だから当然と言えば、当然だけど・・)
どうしてこんなところに座っているのか。それは一ヶ月ほど前に始まった悪夢のせいだった。

「は・・?倒産?」
勤務していた会社が倒産した事が始まりだったと思う。
なんと社長が夜逃げをしたらしい。
給料日前に逃げたものだから働いた分の給料すら受け取る事が出来ない状況になった。
給料が入らなくては家賃や光熱費すら払えない。
悪夢が始まった訳だ。
 会社が倒産した事を皮切りに、結婚すら考えていた彼女には別れを切り出されるわ、
借金をしようにも、保証人を誰にも頼めずにいたら、家賃が払えず家を追い出されてしまった。
そしてマン喫などで暮らしながら仕事を探していたけど
いい仕事に巡り会えないまま所持金が200円になってしまい今に至る訳だ。

親が残してくれたこの命を自殺なんかで失いたくない。
でも金がない。そんな時に目に入ったのは、ひったくり防止のポスターだった。
「ひったくり・・」
今までまじめに生きてきた俺にとって犯罪なんてあり得ない事だった。
しかし、金が底をつきかけ、詩を考え始めた今、
俺に残された生き延びる方法はこれしかないと思った。
作品名:首なし殺人事件 作家名:sakura