Parasite Resort 第一章
男性自身の先端に開いた尿道口から、そして肛門から、マシュマロがニュルると侵入してくる。マシュマロの白いジェル状の肉は、下腹部一面に入り込んできて、内側からも旦の体を容赦なく責め立てた。
「ああ……もう駄目だ……う……」
旦の意識は射精をした。しかし体は、そういった反応をしなかった。意識は絶頂のまま固定され、キープされていた。
「う……うう…・ううう……うっ……ううっ……うっ……うっ……うっ……」
旦の意識は崩壊しそうだった。何度も何度も絶頂を繰り返すセンセーションの猛りの中で。
今や旦は脈動する快楽の人形と化してしまっていた。玲子のマシュマロ意識の中で、輪郭を失ってしまうほど溶けそうになっていた。
いや、比喩ではなく実際に、旦の輪郭は溶け始めたようだ。マシュマロの肉にその境界線を蝕まれ、いまや旦の体は、男性の体型を微かに残した白い塊になりつつあった。
「あふ……あ……クロ……んあ……クロがいる……私の中に……」
微睡みの中で、二人の意識は溶け合った。
「クロ……」
「玲子……」
*****
しばらくして
辺は白い草原。
寝転んで、二人は手を繋いでいた。二人共生まれたままの姿だった。
そこには、青空も雲も無く、二人を祝福する太陽すらなかった。それでも二人は、お互いを見合って笑い合い。言葉を必要としない意志の疎通を行なっていた――もはや、「愛している」と言う必要すらない。二人の意識は今や1つになっているのである。
「クロの体……取り戻さなくちゃ」
「取り戻す?」
「そう、あの悪魔達から」
「……そうだな……でも、どうやって?」
「……私ね……見つけたの」
「何を?」
「……ホムンクルスを」
「ホムンクルス?」
「そう、ホムンクルス……それは、人間の脳に宿る兵器」
旦は、深々とため息をついた――戻るのか……あの戦いの最中へ。
玲子の言うホムンクルスが一体全体何であるのか見当もつかないが、ともかく彼女には何か策があるらしい。
「ねぇクロ」
「何?」
玲子が握る手に力を込めた。その途端、旦の意識に、快楽の絶頂が訪れる。
「うっ…は……やめろよ」
「ふふふ……もう、私から離れられないね」
「……それは、お互いだろ」
今度は旦が、手を強く握り返す。
「ああーーー……あ……やめ……ちょっ……」
玲子の体が草原に附したまま跳ねるようにピクついた。
「こんな事してる場合じゃないでしょ」
「こんな事している場合じゃない」
二人の融合意識が、同時に思った。
作品名:Parasite Resort 第一章 作家名:或虎