星の降る夜
「ねぇ、あなたは…。
こんな風に夜空を見上げて
星を数えてる人の心もわかっちゃうの?」
「ふふふ…。まだまだ修行中だけどね。
でもね…きみの瞳を見たとき
ちょっとだけわかるような気がしたんだ。
瞳の奧にひとつ…せつなそうに
蒼い星くずが揺れていたもの。
恋をしてるんだね。」
胸が…キュンと啼いた。
「人は星空を見上げて
お願い事をしたりするけど
それは誰が叶えてくれるのかしら…」
見慣れた部屋。
あたしは自分の部屋の窓辺に座っていた。
星っ子はずっとあたしの髪を撫でている。
「ほんとのことをいうとね、
誰も叶えてはくれないのさ。
星に語りかけることで
その人の心がやさしくなる。
強くなれる…ような気がする。
自分の願い事は自分で形にしていくんだよ。
ぼくらはそんな気持ちになれるように
ちょっとお手伝いするだけさ。」
あたしはやさしい星っ子の手を取っていった。
「あたし毎晩窓を開けて空を見上げるわ。
こんな夜はきっとあなたのことを思い出すと思う。
そして勇気が沸いてくると思う。
そしたらしあわせな気持ちのまま
一日を終わることができるわね。」
「ふふふ…そしたらぼくは
きみに贈り物をひとつしたことになるね。」
星っ子がやさしくあたしの髪を撫でるから
つられてあたしもクスクスと笑った。