あることを告白しよう
ドラクエのセーブデータが飛んだ、マージャンで飛んだ、という飛んだでは無い。
地面を勢い良く両足で蹴り飛んだ、小さい時に運動会で走り高跳びで飛んだ、確かに飛んだ。だが、飛んだという気がしない。
駅のフォームから飛んだ、ビルの上から飛んだ、という人の話を聞くことはあるが、さぞ気持ちいいことなんだろう。だが、私の求めている飛んだではない。
ロボットアニメや超能力バトル、魔法少女シリーズなんかではよく飛ぶことが多い。当たり前のようにアニメでは飛んでいるが、やはり、私の求めている飛んだではない。
もしかすると、人間は永遠に飛ぶことに憧れる生物なのかもしれない。私は目を閉じて、眠りについた時、気が付いたら、飛んでいるのだ。
空を自由に飛んでいるわけではない。私の飛んでいるは、月の重力を地球で体感する感覚に近い。初めは断続的だった。だが、段々、見る機会が増え、いつのまにか毎晩のように見るようになった。そして、私は目が覚めると、悲しくも嬉しくもない感情に陥る。
おそらく、今日も、明日も、その一ヶ月後も、私は飛ぶだろう。現実で飛ぶ日まで。
作品名:あることを告白しよう 作家名:セテゥンタ