最後に笑顔で「さようなら」
私はそんなあなたのそばにいられるだけでうれしかった。
幸せだった。
だけど、周りはそれを許してくれなかった。
幸せそうに笑っていたら幸せになれるんだと思っていたの。
周りが騙されるのと同じように、自分自身も騙されるんじゃないかなって。
そんな風に思っていて、でもそれは幻想にすぎなかった。
仮にも自分自身が騙されたところで所詮それは、偽物の幸せ。
長くは続かない幸せ。
本当はわかっている、偽物の幸せを手に入れた瞬間に
本当に望んでいる幸せは一生手に入らなくなってしまうことくらい。
でも、それを、本物の望んでしまったらあの人から自由を奪うことになる。
それだけは、それだけはしたない。
してはいけないこと。
「あのね、私…」
だから、私は
「…私ね、結婚するの」
偽物の幸せを選びます。
作品名:最後に笑顔で「さようなら」 作家名:吐息