たとえば
君と僕とが同い年で、
君と僕とが同じクラスになって、
君と僕とが毎日学校で一緒にお昼ご飯を食べて、
君と僕とが一緒に駅までの道をお話しながら帰って、
君と僕とが毎晩お互いのことを思って眠りについて、
君と僕とがお互いを好きになって、
君と僕とが一緒に未来を歩んでいくことを決めて、
君と僕とが同じように年を取って、
君と僕とが一緒に歩んだ人生を振り返って「幸せだったね」って笑いあえて、
君と僕とが同じお墓で眠れたら。
そんなこと考えたことあるかい?なんて言ったら君は悲しそうな顔をしてこう言うんだ。
たとえば、たとえばのおはなしだよ。
僕と君とが同い年で同じクラスになって、
毎日学校で一緒にお昼ご飯を食べて、一緒に帰って、
お互いのことを思って眠りについて、
お互いのことを好きになったとしても、
僕と君の間には性別という名の壁があって、
僕と君とは同じ姓を名乗らなきゃいけない義務があって、
その二つだけが僕達が一緒に未来を歩むことも一緒に年をとることも、
一緒に幸せだったねって笑いあうことも、
一緒の墓で眠ることも許してくれないんだ。
そんなこと考えたことあるかい?なんて涙を流しながら僕に問うから。
たとえばのおはなしなのに、
僕は黙って悲しく微笑むことしかできない。