メール
そういえばよく通ってた喫茶店に顔出してないなあ、なんて思いながらぜんちゃんへお誘いのメールを送る。
確か今日は火曜だからバイトは入ってないはずだ。
「今日暇だろ?久しぶりにあそこの喫茶店にご飯食べに行こうぜ」
いつもなら「いま暇?」の一言で済ませるメールだが、長期の休みで長らく会っていなかったので、なんとなくいつもよりちょっとだけ愛想良く。
大した意味はないのだが。
会ったら何を話そう、バイトでの出来事かなー、喫茶店のママさんとも会話が弾みそうだ、なんて返事もまだだが勝手に思いを巡らせる。
すぐに返事が来ない辺り(というかすぐに返って来た試しはないのだが)、また寝てるのではないかと予想。
全く、昼もいい時間なのに寝てばかりだなんてだらしない。
程なくして手の中のスマホが震えた。ぜんちゃんからだ。
右上の時計を見て集合時間は何時にしよう、と考えながらメールを開く。
『ああ、すまん。今実家に帰ってるから行けないわ』
予想外すぎる答えに数秒間動きが止まってしまった。
一息ついて「なんだ、帰ってたのかよ(笑)じゃあひとりでママさんの美味い飯かっ食らってくるわ!あ、土産よろしこ」とすばやく打ち込み送信する。
そのままベッドのほうへスマホを放り投げた。
机の上にあったたばこを咥えて大きく溜息をひとつ。
予定くらい教えとけってんだちきしょう。