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Aに救いの手を_サイレント・キーパー(仮面ライダーW)

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聞き込み




清風教会は風都の繁華街よりも少し離れたところに立てられた教会だ。
閑静な住宅街のなかに建てられたその教会は何十年も前からその地にあり、風都の地域住民の心の救いの場として大切に扱われていた。
「ごめんください」
翔太郎たちは正門のドアを開けなかに入る。
ドアを開けてすぐの部屋、礼拝堂は古いつくりながらも細かいところまで手入れが行き届いており、それがこの教会がどれだけ大切に扱われているかを雄弁にものがたっていた。
「・・・・・・いらっしゃい。当教会に何か御用でしょうか?」
厳粛さを感じさせる声色だった。
教会の奥から出てきたのは祭服を着た男だった。
「アンタ、ここの神父さんかい?」
翔太郎は男に質問をする。
「・・・・・・はい。私はこの清風教会で神父を務めさせてもらっています、宮部総一と申します」
ともすれば、陰気に取られそうな低い声。
しかし、その丁寧で固い口調からは彼が陰気というよりかは生真面目な性格であることを窺わせる。
「・・・・・・あなた方は?」
今度は宮部総一と名乗る神父が翔太郎たちに質問する。
「ああ、先に名乗らせて悪かったな。俺達は、」
「自分は風都警察署の真倉というものです。で、こいつは雇われ助手の左翔太郎です」
真倉は翔太郎の言葉に割って入り警察手帳を見せる。
「ってコラ! 誰が雇われ助手だ!?」
「貴様以外に誰がいるというのだ?」
「なんですってコノヤロぉ!」
「・・・・・・それで、警察の方が、今日はどういった御用向きでしょう?」
宮部は二人の寸劇をスルーして、本題に入るように促す。
「あ、ああ。すまねぇ、実は俺達はこの辺りで起きている誘拐事件を追っていてな」
翔太郎はベストのなかから刃野から預かった写真をみせる。
「このマークに見覚えはないかい? 誘拐事件の現場に残されていたものなんだ」
「・・・・・・S.K.・・・・・・いえ、初めてみます」
「・・・・・・そうですか」
「・・・・・・お役に立てず申し訳ない」
宮部は深く頭を下げる。
「いや、いやいや! 知らないならそれでいいよ! 頭を上げてくれ!」
宮部の真面目すぎる対応に少し狼狽する翔太郎。
言われるままに体を起こす宮部。
「・・・・・・しかし、この街は本当に犯罪が多い街ですね」
翔太郎の動揺をさして気に留めたふうもなく、宮部はどこか遠くをみるような目で街を眺める。
「・・・・・・私はこの教会に赴任してまだ二年くらいですが、ニュースの報道を観ていても非常に不思議な事件が多く、その犠牲も甚大だ」
「・・・・・・ああ、そうだな」
翔太郎は帽子のツバで目元を隠して呟く。
それは、この街を守る人間からすれば耳が痛い発言だった。
"この街は俺の庭だ"
柏木にそう言った翔太郎。
しかし、その自分のテリトリーのなかでは今日もどこかで犯罪が起こっている。
それはつまり、翔太郎はこの街を守りきれていないと間接的に言われているのではないか?
そのことに関して、翔太郎は言葉をもたない。
守れないのは彼に力が足りないから。
言い訳は、出来ない。
しかし。
「それを防ぐために、我々は日夜努力をしておるのです!」
少し気持ちが沈み気味だった翔太郎の横で、真倉刑事は元気一杯に背すじを正して応えた。
「たしかに我々はこの街の犯罪に対してはまだまだ力不足です。しかし我々警察はその力不足を都合の良い言い訳にして諦めるつもりはありません! もちろん、今回の事件もっ!」
「・・・・・・なるほど。失礼しました。私は貴方達のことを何か誤解していたようだ。勘違いを許してほしい」
「いーえー。でも力が足りないのも事実ですから! はっはっは!」
何がおかしいのか、真倉は胸を張って笑う。
「・・・・・・」
そんな真倉を翔太郎は絶句して見つめる。
「? なんだ探偵。その失礼な目つきは??」
「マッキーのくせに、まともなことを言っていやがる、だと・・・・・・?」
「ホント失礼だね!?」
俺の扱いどうなっているのー!と一人絶叫する真倉。
「・・・・・・私は神父なので、あなた方の捜査には協力することは叶いません」
翔太郎と真倉がぎゃあぎゃあと言い合っている横から宮部は声を掛ける。
「・・・・・・しかし、神父らしく祈ることは出来ます」
そう言うと、宮部は自分の前で慣れた手つきで十字を切る。
「・・・・・・どうか、貴方達とこの街の未来に、幸福が訪れんことを」
それは厳粛ではあったが、どこか温度のある、不思議な響きの声だった。