新堂陽一 三滝奈緒子
女は自らにも降りかかる災厄に直前まで気づかず、男の名を呼びながら絶命した。
4月5日、午後2時。喜多見公園を出てすぐの交差点で信号待ちをしていた男女が別々の車に相次いで轢かれた。
最初に轢かれたのは男の方で、轢かれた男に女が駆け寄り、そのまま後続の車に撥ね飛ばされた。
女の身元は、三滝 奈緒子 20歳 大学2年生 男とは入学前から交際をしていて、親、友人にも紹介はしていた。
が、男の身元がはっきりしない。
遺留品にあった財布に身分証の類は一切無く、いくらかの現金と、飲食店の割引券のみ。
そこで、友人らに聞き込みをしたところ、男の名前は 新堂 陽一 25歳 証券会社に勤めている・・・らしい。
分かったのは名前とおおまかな職業だけで、住所や出身などは何一つ分かっていない。
行方不明者リストにも該当しそうな人物はいない。はっきりいってお手上げだ。
作品名:新堂陽一 三滝奈緒子 作家名:ますたーど