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指輪

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いつものように寒いと言って手を差し出すと、その体温を確認するかのように手を握ってくれる。
これはもういつの間にか身についた習慣。


だけど今日はちょっとだけ違う。
いつも通りの左手の中指に、いつもと違う藍色に光る指輪を見つけた。



あ、と声をあげるとぜんちゃんは何?と首を傾げる。



「それ、つけてたんだ」
「あー?まあ・・・つかお前が買おうって言ったんじゃん」
「でもホントにつけるなんて思わなくて」
「・・・ふーん」





ちょっとだけ声の調子がしょんぼりしたように聞こえた。うわあどうしよ。



嬉しくてでもちょっとだけ罪悪感。だってそれ



「だってそれオモチャだしさあ、それに俺のやつどこいったかわかんないんだよね」
「欲しいって言ったヤツが何してんだ」



ははっと笑うぜんちゃんを見て、やっぱりちょっとだけ罪悪感。


うわあもう!
だってさ、たかが500円くらいの温度で色が変わるオモチャの指輪なんて誰もはめるって思わないじゃん!

ファミレスで子供のオモチャ売り場にあったのをたまたま見つけて、その場のノリで買おうよ!おそろいだね!って言っただけなのに。



まさかちゃんとはめてくれるなんて。





まあ、たかがオモチャだしなと笑って指輪を外しポケットに仕舞うぜんちゃん。
外しちゃうの?なんて声をかけようと思ったけど、何となく返事を聞くのが怖くてやめた。




つけてくれるんだったら、こんなオモチャじゃなくてもう少しマシなものを買えばよかった。





チラッと右側を盗み見る。
長くなった前髪が邪魔して、よく表情が見えない。





家に帰ったら探そう、絶対探そう。

たぶん掃除したときにどこかに仕舞ったはずなんだ、と思いを巡らせる。




でも、




オモチャだからこそぜんちゃんははめてくれたのかもしれないけど、なんて。







作品名:指輪 作家名:だんご