臆病者の恋
その背中を眺めているのが好きだった。
だから気付いてしまった、気付きたくない真実に。
笑いあってる甘い雰囲気の2人。
周りの人は気付いていない。
だけど明らかにいままでとは違う雰囲気。
ずっと見てた私だからこそわかる。
本当はわかりたくなんかなかった。
その時初めて大好きだったあの背中に背を向け歩き出す。
笑顔の2人にさようなら。
本当は、分かってた。
あなたにとっての自分は、ただの「同じクラスの子」でしかないって。
馬鹿みたい。
あなたに名前を呼ばれる度に勝手に期待して、
あなたがあの人の名前を呼ぶ度に勝手に失望して、
お願いだから、
どうかもう二度と笑いかけないでください。
どうかもう私の名前を呼ばないでください。
どうかもう私に話しかけないでください。
何度むしり取られそうになったかわからないこの気持ちを、
どうかこれ以上痛めつけないでください。
ああもう、いっそあなたのことを嫌いになれたらよかったのに。