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体温

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四月と言えどもまだ上旬。

こんな夜更けに自転車を走らせてきたらしいじろーは相当寒かったらしく、いつものパーカーより少し厚手の上着を羽織り、さらにマフラーまで首に巻きつけていた。


よく見ると鼻の先が少し赤い。


一瞬だけ目を合わせると、すぐに視線を若干そらし寒い寒い、と連呼している。
両手を前に差し出し、手のひらを開いては閉じを繰り返していた。




「そんなに寒いの」
「だって自転車できたんだもん」
「なるほど」




差し出された手を握り返してやると、あったかい!とじろーが目を見開く。
普段のコイツの体温からは想像できない冷たさが手のひらに広がった。

思わずつめた!と声を上げてしまう。



体温をわけてやろうともう片方の手を差し出すと、じろーは嬉々として握り返してきた。

笑みをこぼすじろーを横目に、じゃあ行こうかと手を引く。







冬の間にいつの間にかくせになっていた握手、なんて。




作品名:体温 作家名:だんご