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1つの愛

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私達、どこから一緒だったっけ?

彼女がふと思い出したかのように訊ねた。
僕はいつだったか覚えていない。彼女も同じようだ。
わすれた、と一言返しておいた。彼女もそれはどうでもいいことだったらしく、「そっか」とだけ言った。本当は二人ともわかっているのに。
 それからしばらく無言のまま二人で歩いた。普段から二人の間にはあまり会話が無かった。それでも僕は幸せであったし、彼女も今で満足している。……と思う。
 空は生憎の雨天だが、雨の時は二人の距離がぐんと近くなっていて、元に戻れた気がした。だから雨で良かったなと僕は思う。彼女は服が濡れるのが不快で仕方無いみたいだが。
 僕達はあまり会話をしないけれど、お互いの事はちゃんとわかっている。
根拠はない。でも、わかりあっているからこそあまり会話をしなくてもいいと考えている。
元々僕らは一つだったから、彼女も同じことを思っているという自信があるし、それに理由なんて必要ない。
 永遠の愛を歌う人達もいるけれど、そこに永遠なんて無い。いつかは廃れて死ぬ。元々が全く別の生物であった2つが永遠に結ばれるなんておかしな話だったんだ、始めから。
僕達? 僕達は僕達にしか実現できない永遠の愛を証明出来る。今、近くで歩いている彼女も同じ事を言うだろう。二人はずっと一緒。今までも、当然これからも。
 生まれてからずっと、もし、死ぬことになっても、一緒。二人は離れない。離そうとしても離れられない。僕達はそういう関係。
あなたも探してご覧。そこに映る永遠の愛を。
作品名:1つの愛 作家名:カナエ