はるかぜのうた
はなび
あの時のあたしは
1週間に4回は泣いていた
泣いちゃ駄目だって思っていたから
大体は人目に付かない場所を探しては泣いた
泣いちゃ駄目だって思っていたから
泣いてる自分が許せなくて一人で途方にくれた
それでも
堪えられない時は
キミに助けを求めた
キミは叱咤する日もあれば
優しく受け止めてくれる日もあった
そんなキミはあたしに言った
「花火を見に行かない?」
あたしはあの日も泣いていて、
電話口でそんなことを言うキミに
見えないはずの顔を画しながら
「うん」
って答えた
当日は友達もいて
キミは大勢の人の中で
久しぶりにはしゃぐあたしを見て
満足そうに笑顔を浮かべてた
あの頃のあたしは弱くて
心の中はいつも雨で
たまに曇りがあればいいほうで
でも
あの日は限りなく晴れに近かった
晴れた夜空に花火が上がった
数年の年月が流れた
あたしは社会人になった
キミとはなかなか会えない
頻繁にキミに会えたあの頃を
幸せって呼んでいいのか
ひたすら生き方に悩んだあの頃を
不幸せって呼んでいいのか
わからないけど
あの時の花火が綺麗だったことを
あたしは覚えている
たまに頭を抱えながらも
背筋を伸ばして
凛と歩くあたしは
自分が大好きだ
明日晴れますように!