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SHADOW

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第一章 影
「そうだな……そこに座りなさい」
 担任教師が示した場所は、信の左隣であり、翔の前の席である。
「わかりました」
 素直に指示に従い、ノルンは指定された席に座る。すると、比較的真面目そうな男子生徒がおずおずと控えめに言う。
「あの……そこは今日、風邪で欠席してる丸野君の席ですけど……」
「何を言う。来てない奴が悪いんだよ」
 担任教師は平然と言う。丸野君が何ともかわいそうである。
「ねえ、君どっから来たの?ハーフ?今度どこかに遊びに行かない?」
「う、ううん……遠慮しておくよ」
「なん……だと……?」
 早速ノルンに声を掛ける翔だが、苦笑されながら断られてしまった。
「ケケケ、バーカ」
 信はがっくり頭を下げる翔を横目で見ながら邪悪な顔で笑っている。信が蛇の舌をチロチロ伸ばしているイメージが頭に浮かぶのは、なぜだろうか。
「畜生……このクソバンダナめ!」
「なっ!?言うに事欠いてクソバンダナとはなんだ!美人と見りゃ誰かれ構わず突っかかりやがって!盛りのついた猿かテメェは!!」
「んだとこのヤロ!」
「やんのかチャラ男!」
「……二人とも、仲いいんだね」
 今にも仲よく喧嘩を始めそうな二人を見ながら、苦笑しつつノルンは言う。
「仲いいっつーか、どっちかってーと腐れ縁だな。俺達は」
「だな……なぜかどこに行っても鉢合わせるからな、俺ら……。まあ、田舎だからあんまり遊ぶところがないからかも知れないけどね」
 言いながら、翔は肩をすくめる。
作品名:SHADOW 作家名:小玄武