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空想科学省心霊課です。0

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進歩しすぎた科学と、そんな科学でも説明のつかない超常現象。それらを処理する行政機関が、空想科学省である。

 世の中には、ひとならざるものがその眼に映るという人たちがいる。ひとならざるもの、つまりは、霊魂、精霊、神。それらを見、感じ、言葉を交わすことの出来る人たちのことを、霊能力者と呼んだ。
 どうにも、人間は自分には許容できない、処理できない、そんな情報を恐れ、嫌う傾向がある。例えば、眼に見えないもの。つまりは、霊魂、精霊、神。人間と、それらひとならざるものを繋ぐため、この世のバランスを保つため、生きた人間を守るため、日々奔走するのが、


空想科学省心霊課です。 


「横島クン! おっきな仕事する気ない?」
「断っても上司権限で押し付ける気でしょう」
「わかってるじゃない」
 ぴら、と心霊課の課長が取り出したのは、一枚の書類。「おっきな仕事」に関する書類であれば、本来A5用紙一枚で済むような内容ではないだろうが、このものぐさの課長は、これ以上のボリュームの書類を受理しないため、こうなった。肩を組んできたおっさんを暑苦しいと一蹴し、その手から書類を奪い取る。

『恐怖!! 幽霊マンションの怪』
都内某マンションの一室にて、一家心中が発生。
改めて調べてみたところ、その部屋では何度も人が死んでいるようで……これは呪い?!』

 出来るだけ簡潔に、出来るだけ面白く(じゃないと読まずにポイするから)、を追及した結果、心霊課の書類はこのような形になった。
「そそられる事件でしょ」
「頭が痛いです」
 おっさんのいやらしい笑顔に、横島は頭が痛くなる。

 青年・横島 0男(ヨコシマ レイオ)は考えた。一番安定した収入を見込める職業はなんだろうと。そして行き着いた答えが公務員である。彼には父と母から受け継いだ霊能力があったため、心霊課を志願した。そして生霊、怨霊、悪霊の類を退治する「ゴーストバスター」となったのである。
 それが、この状態……。
「まぁ、それは置いておいて。受けてくれるよね?」
年の割に気さくなこの課長にも困ったものである。横島は眉間に皺を寄せて、こう言った。
「俺が適任だとは思えません。てゆうか、?ゴーストバスター?には向きませんよ、この案件」
「だよねぇ。それは、ほら。外注したから」
 課長は、もう一枚紙を出す。外部発注の注文書だ。受理された判子が既に押されている。
「外注?! また安易な……じゃ、俺は何を?」
「外注した子のボディガード、かな」
はぁ、と横島のため息のような声は課長の笑い声にかき消された。



TBC....