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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (51)

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赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (51)登山の前の、ノーパン姉妹


 「かつては女人禁制のお山であったと、市奴姉さんから伺いました」

 「知っているよ。
 女人禁制の掟を破って入山した女が、石に変えられたという伝説は
 いまでもここらあたりでは有名な話しさ。
 はじめて飯豊山へ登山したのは、会津女子高出身の猪股なんとかという
 18歳の女性だと、記録に残っています。
 山頂の神社まで行って、山上のお花畑を楽しむと2泊3日の日程になる。
 お前。本格的な山登りは初めてかい?」


 「ヒメサユリを見るだけで、2泊3日もかかるのですか?」


 「ヒメサユリだけじゃないよ。
 時期的にはニッコウキスゲも満開だろうし、登るにつれて
 たくさんの種類の高山植物たちを見ることが出来ます。
 まさに天上の花園だよ。梅雨入り前の飯豊連峰は」

 「2泊3日も歩いたら、脚がパンクをしてしまいます。
 大丈夫なんですか飯豊山は、あたしみたいな初心者がいきなり登っても」


 「造作もないさ。最初はみんな初心者だ。
 心配なんかいらないよ。そのへんの連中よりも日舞でしっかりと鍛えている
 お前の足腰のほうが、よっぽどもシッカリしている。
 ほら。このへんなんか鍛え抜かれて、ムチムチとしているもの!」


 登山ズボンに足を通している清子のお尻を、恭子がポンと叩きます。
『きゃっ!』隙を突かれ思わず悲鳴を上げた清子が、片足を
ズボンに突っ込んだまま、ケンケンの形で室内をポンポンと数歩、
移動していきます。
驚いたのはのんびりと昼寝を決め込んでいた、三毛猫のたまです。
態勢を崩し始めた清子の大きなお尻が、突然たまの目の前に落ちてきます。
『うわ~っ。今度ばかりはオイラも、絶体絶命の大ピンチだ!』
たまが両目をつぶり、すっかりと覚悟を決めたその一瞬、さっと横から
市さんの手がたまへ伸びてきます。



 「馬鹿だねぇ、お前様も。
 何が起こるかわからないお部屋の真ん中で、
 お昼寝なんかをするんじゃないよ。
 ほらごらん。清子のお尻も最近はすっかりと大きくなってきただろう。
 あんな大きなお尻に乗られたら、お前なんか跡形もなく、
 いっぺんにノシイカのように、ぺっちゃんこに潰されてしまいます。
 危なかったねぇ。命拾いをしましたねぇ、たまや」


 「失礼ですねぇ、たまも、そうおっしゃる市奴姉さんも。
 少しばかりお尻の形が丸くなってきましたが、
 それほど大きくはありません。
 と、自分では思っておりますが・・・
 たぶん、今でも、昔のままのパンツがそのまま履けると思います。
 あくまでも履いてみればの、お話ですが」


 「履いてみれば?。なんだい、ということは、
 今のお前は、パンツを履いていないということかい。
 俗に言うノーパンかい?」


 「はい。浴衣を着始めた時からノーパンのままです。
 ついでですからズボンを履くときも、ノーパンで過ごしております。
 あら、いけませんか?。ズボンの時はパンツを履いたほうが
 よろしいですか?」


 「別に構わないだろう。
 履こうが履くまいが、普段は清子の勝手です。
 でもね、山へ行く時だけは話は別です。
 何が有るのか分かりませんから、ちゃんと下着だけはつけていきなさい。
 万が一遭難をした時、下着を着けていないようでは
 物笑いの種などになります。
 だいいち、涼しすぎてあそこから風邪などをひきかねません。うっふふ」


 「そうですよねぇ。登山ですから、万が一という心配は確かにあります。
 それではあたしも今回だけは、パンツを履いて登りましょう」


 「え?。そう言う10代目も、普段はパンツを履いていないのかい?。
 なんだいお前たち。揃いも揃ってノーパン姉妹かい。驚いたねぇ・・・・」


 「はい。清子に浴衣の着付けを教えてもらった時から、
 ノーパンが病みつきになりました。
 だって、黙っていれば誰にもわからないし、楽でとっても便利です。
 やっぱり変ですか。女がパンツを履かないと?」


 「まぁね。まだ勝負パンツを履くという年頃でもなさそうだし、
 女は、パンツを履かねければいけないという法律もこの国にはありません。
 でもねぇ。山の夜は思いのほか冷えます。
 山に行くときだけは、パンツの他に毛糸のパンツも履いてくださいな。
 女は冷えると後々が、厄介となる生き物です。
 だいいち、男たちはそのへんで立ちションで済ませることも出来るが、
 山の中でも、女はそう言うわけにはまいりません。
 どんな場所であれ、身だしなみと心得というものは、
 女らしさの生命線です。
 悪いことは言いません。
 今回に限りということで、パンツを履いていくんだね、二人とも」



(52)へ、つづく