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最近殿がおかしいのです。


確かに一夫多妻が許される時代かもしれません。
しかし…

いつも週に一回は必ず来て下さっていたのに…


もうかれこれ三週間待ち続けております。


「殿はどうしたのかしら」

「あら、奥様はご存知ありませんか?かぐや様のお噂」

かぐ…や…?





(なんでも、竹取様の一人娘で、それはそれはたいそう美しい姫君だそうですよ。国中の殿方が恋こがれているそうで…)

あの方も…!











「…」

「こちらを向いておくれ」

「…随分久しゅうございますね」

「…すまなかった…」

「それで、お噂の姫君はどちらに?」

「…わたしがおかしかったのだ…あの女は…確かに美しかった。この世のものではないかのように。…いや、本当にこの世のものではなかったのだろうな…」




殿があまりにも静かにぽつりと溜め息をついたものだから、ついそっとよりそってしまう。





「のぅ…」




殿がわたしの髪をさらさらとときほぐす。





「今宵は綺麗な月よのう」


作品名:回転 作家名:川口暁