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キミが望んだ答え

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世界は優しいままだと誰が言っただろうか。


【キミが望んだ答え】


歳を重ねるにつれて生きにくくなるのは、自分で自分の首を少しずつ絞めていくからだ。
そう言ったのは多分キミだった。

特に、若いときは自分の腕の力を緩める術を知らないから、
苦しいのにゆっくり加速しながら絞めていく。
そしてある峠を越すとその腕の力を緩める方法を見つける。
だからそれからは生きやすくなる。
たとえ幼い頃と世界が変わって見えても、生きてることには変わりない。
でもそれまで生きていけるかと聞かれれば僕は多分分からないと答えるよ。

苦しいのに耐えられるほど忍耐力は強くはないし、
その腕の力を緩める術をすぐさま感じ取れるほど賢い方じゃない。
器用か不器用かと聞かれれば間違いなく不器用な類の人間で、
強いか弱いかと聞かれれば間違いなく弱い類の人間で、
今生きてる事実に誰よりも自分が驚いてる。
僕はそういう人間だ。

腕の力を緩める術を見つけることが出来ない人間も、
この世界には沢山いるってこと何となく理解してた。
キミがそういう部類の人間だってことも分かってた。

「この世界はあまりにもあまりにも優しすぎて、
だから僕を傷つけられるのは僕しかいなくて、
だから神様なんて信じてないよ、信じられないよ。」

そう言ったキミはいつも首にロザリオをぶら下げて、熱心に聖書を読んでいた。
分かってる。
分かってるよ。

キミは神様を信じてたんじゃないよね。
キミは神様になりたかったんだよね。
キミの世界で神様はキミだったんだね。

(泡がはじけるように消えてったキミに僕の世界は悲鳴をあげたよ)
(これだけでいいんだろう?キミが望んだのはそれだけなんだろう?)
作品名:キミが望んだ答え 作家名:志月*