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お出かけ

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喫茶店の窓から射し込むオレンジ色の夕陽が、カレの左の頬まで染めている。
今、ワタシは、カレと喫茶店のテーブルを挟んで向かい合っている。いつもの後ろ姿のカレではない。嬉しいけど、やっぱり馴れない所為か 向かい合っていると照れくさい。
カレの口が、何を話すか気に掛かりながら、カップの端に唇を当て 微笑んでカレを見ているワタシが居る。


あの部屋にいるカレは、いつも机に向かって、原稿用紙ばかり見つめている。
そのうち、用紙に穴が開いちゃうんじゃないかなって思うほど、真剣に見ているね。
でも、ちゃんと 書いているのかな。何を書いているのだろう。
ふと、顔を上げたかと思うと、窓から外の風景でも眺めているみたい。
だから、息抜き代わりに、ちょっとお邪魔してみるけど、本当は迷惑なんじゃないかなって思うこともある。いやいや、そんなことないよね。だって、いつも優しいもの。

カレとのお出かけは、日用雑貨品と食べ物のお買い物くらいだけど、それもあまりしない。
ワタシが、居ないときに出かけているのかな……いっしょに買ったものじゃないものが あったり、何かが増えていたりしている。
誰か 身の回りのことをしているひとが居るのかなって、しばらく、朝から寝るころまで 見張ってみたけど、それもなさそう。ワタシってストーカー? それとも探偵か?ってこともしたけど、嫌われちゃうのは、嫌だから やっぱりやめた。
そのときは、もし、カレに 大切なひとが居るなら 仕方ない。諦めることは たぶんできないけど、今 近くに居られることができればいいって思っていた。でも、近しいひとは居そうになくて良かった。良かった?そんなに もてないのかなぁ……カレ。そのうちきっとカレの気持ちもわかると思う。だって ワタシは……。 
作品名:お出かけ 作家名:甜茶