人生いろいろ
20才・大学生のターン
塚本洋平20才・大学生は怒っていた。
「だからっ!真っ当に働けって何度も何度も何度も…」
「洋平うるさい。それよか何か食わせろって」
言葉を遮られた上ウルサイ扱いである。
額に血管を浮かべながらも台所に立ってやったのは、ギャンブルで大勝ちする度に「学生にゃ入れんだろう」と、ちょっとした店を連れ歩いてくれた輝かしい過去への礼だ。
「ありモンだからな」と言いつつ、野菜炒めには肉が入っているし、味噌汁には豆腐にワカメにネギまで入れてやる。
小さな卓袱台に並んだ即席定食に目をキラキラさせる健児に頬が緩みつつも
「これに懲りてちゃんとしろよな」
とお小言を言ってみる。…が、返ってきたのは
「るっせぇ、せっかくのメシがまずくなんだろーが」
「………」
なかしてやろうかこのやろう。
大体この3つ年上のプー太郎は人として駄目すぎだ。
それなりの大学を出ておきながら就職もせずアルバイト暮らし。
そのバイトも念願のバイクをGETして辞めてしまった。
そこそこのギャンブル運に恵まれていたらしく僅かな貯金を、使っては増やし使っては増やししてのプー太郎人生謳歌っぷり。
自分とて真面目とは言えない程度に遊ぶが、全て生活プラン内である。
(でもま、いい機会だよな。これで少しはマジメんなんだろう)
履歴書はキレイなのだからバイトならすぐ見つかるだろうし、給料日までの生活費位なら貸してやれる貯えもある。
出来の悪い弟を持った兄の心境で、野菜炒めを頬張るプー太郎に溜め息をついた。