人生いろいろ
23才・プー太郎のターン
金が無い…。
杉田健児23才・プー太郎(死語)は、困っていた。
半年前にバイトを辞めつつも、やれパチンコだスロットだ麻雀だと、勝負に勝負を重ね 勝利に勝利を重ね、ちょっぴり「俺って人生のギャンブラーだぜ」と、悦にイってた少々ユルい23才である。
多少負けが込んだところで大して気にする事もなく、気ままなギャンブル生活を送っているうちに、気付いた時には大変な事態になっていたのだ。
最後の野口英世はマリンちゃん(長年愛され続けている“海シリーズ”と呼ばれるパチンコ台)に突っ込み海の藻屑と消えてしまった。
ならば金の方からやってくるのを待てばいい…と、ポケットに残った小銭で食玩『金運が上がるパワーストーン・エッグ』を買ってみたのだが・・
待つこと一日、やってきたのは激しい空腹感だった。
金色の卵型ケースから出てきた黄色っぽいナンとか石を握りしめ、溜め息…。
残金102円。
流石にユルユルでも滅入ってくる現状である。
「しょーがねぇ、隣行くか」
履き潰したスニーカーを引っ掛けて、アパートの隣部屋のドアを叩くのだった。