僕で或り続ける為に
第二話
鏡を見ればやはり、口の端には精液が少し付いていた。
袖で拭ったとは言え取れなかったのだろう。
「ぅっ…!
おぇっ…ぐっ…!」
それを見ていると先程の行為が事実だと認めざるを得ない。
そう思えば急に吐き気がして久しぶりの嘔吐。
蛇口で水を大量に流しながら落ち着くまで待った。
やはり、昨日からまともに食べずして朝御飯も食べずに飲んだのは飲み物じゃないやつ。
それがいけなかったのだろうか。
盛大に溜息を吐けば、御腹を擦り何か食べようと考え台所に行く。
テーブルには何も無く冷蔵庫を開ければ昨日使用人が作ってくれたのだろうハンバーグがあった。
しかし朝から食べるのには気が引け仕方なしに簡単に作るしかない。
もう一度溜息を吐いて取り掛かった。
サッパリした物を作り、本を読み、そして寝て。
時刻は既に9時を越えた。
学校には言っておらず、ずっとご主人様のご奉仕に専念してきた。
だがしかし、合間をぬっては使用人達が教えてくれたし
元が良い、だとかで今じゃどんな問題も解けないものはなかった。
お金もあるし欲しい物は何でも買ってもらえる。
とてもいい暮らし…だと思うが、心に出来た大きな゛穴゛は埋まらない。
それが不思議で堪らなかった。
何故、何が不満なのだろう。
御主人様のご奉仕?
けど慣れた。
母が居ないこと?
違うような気がする。
いくら考えても分からず最終的には諦めるのがオチ。
モヤモヤ感が抜けず、意味もなく舌打ちした。
だが、虚しく響いただけで寧ろもっと穴は深まった、そんな気分に陥った。