僕で或り続ける為に
第一話
「随分上手くなったじゃないか」
早朝5時半。
学校に行く者だとしても起床するのには早過ぎる時間だろうか。
夏、だからだろう。
カーテンで締め切っている薄暗いこの部屋だが、僅かに開いた隙間からは
少し暗い日光が床を照らしている。
そんな朝に御主人のご奉仕をしなければならないという屈辱はなんだろうか。
朝から元気な御主人のソレを口で舐め回す。
所謂『フェラ』というもの。
優しい手つきで己の髪をすかしながら君の悪い笑顔を浮かべている。
今はそれすらも嫌悪感になってしまうから止めて欲しい。
「ん、むぅっ…!」
己の口に、御主人のモノは入らず。
しかしちゃんと根まで入れなければならないので最初の頃は嘔吐しそうになった事が何度もある。
いや、実際にした事もあったっけ。
口からはだらしなく唾液が零れ落ちて首筋に落ちた。
苦しみの声をあげても相手がイくまでは終わらない。
「くっ、出すぞ!
ちゃんと飲めよ…ッ!」
「んっ!?んんぅっ」
予告はあったものの、それでも心の準備ぐらいさせてくれないだろうか。
生臭い独特のあるこの味は何度飲み込んでも慣れないものだ。
何故こうコイツは飲ませようとするのだろう?
慣れたからいいのだけれど。
せめて顔が美少年だったらまだ救いがあったのだが…
残念な事に中年親父。
精液を飲み干し、息を荒げる。
「いい子だな。
じゃぁ俺はもう行く。
いい子でいろよ」
「…は、い…。
行って、らっしゃいま…せ、御主人、様」
最後にもう一度頭を撫でソイツは仕事に向かう。
その後ろ姿を睨み、一階で鍵を閉める音を聞きながら静かに洗面所へと向かった。