記憶
つい先日、友人と友人の彼女と友人の彼女の友達と遊びに行った。その彼女の友達は、とても美人だった。ゲームセンターで遊んだのだが、その娘は「何か対戦しましょうよ」と私と二人きりになることを望んできた。(もしかしたら、そんなつもりは無くただ遊びたかっただけかもしれない)
物凄く礼儀正しく、気品があり、おっとりしていて且つ活発な面もあり、すぐさま好きになった。いや、好きになったつもりだったと言ったほうが正しいのかもしれない。
その日何度も連絡先を交換するチャンスはあったが、臆病で劣等感の塊な私は聞くことが出来なかった。
しかし、次の日「こんなチャンス逃しては後世にも悔いが残る!」と思い、友達を介してその娘の連絡先を聞き出すことに成功した。
まずは第一関門突破!と軽く浮かれて早速メールを打った。
「このあいだはありがとう!」
そんな感じだっただろう。短いメールの方が好感を持つと何かの雑誌で誰も知らないような30代くらいの女の人が言っていたのを参考にした。
それから一週間経った。音沙汰無し。現実とはこういうことだろう。
送ったメールを確認してみた。
「このあいだはありがとう!」
とても端的で素晴らしいメールだ。
しかしだ、どうしても彼女の顔が思い出せない。あんなに美人だと思った顔が思い出せないのだ。
好きという感情が記憶によってかき消された。
記憶というものはとても曖昧で信用できない。これからもずっと。