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女友達と

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 深夜のマックは人が多い。私は、スマホのアプリを立ち上げて、店員に見せる。店員は笑顔で「プレミアムコーヒーのSがおひとつ。以上でよろしいでしょうか」と返す。私はうなずく。一分もしないうちにコーヒーが出てくる。スマイル0円、コーヒー百円。金欠大学生には有難いお値段だ。コーヒーを片手に窓際の二階席に向かうと、そこには既にえっちゃんが座っている。あっちはマックフルーリー。右手を上げて、こっちを向く。「きぃちゃん、こっちこっち」。私はえっちゃんの隣に座る。留学生らしき外国人、バイト明けのフリーター、テスト前の大学生、それから受験生。ざっとそんなところか。
「ごめんねー、急に呼び出したりしてさー」
「いいよー。全然、暇だしー」
 スマイル0円。私も立派にマックの店員になれる。
「ところで何? また彼氏のこと?」
「うん」
「どうしたん? また変な動物でも飼い始めたん?」
「そう。だから家、出てきちゃった。それで今夜はマックに泊まり」
「えー、じゃあ家来なよ」
 来られたら困るけど。空気読めよ?
「えー、悪いもん。彼氏が頭冷やしてメールくれたら帰るつもり」
「マジかー。で、今回は何飼いだしたん?」
 えっちゃんは猫アレルギーで、えっちゃんの彼氏はそれを知ってて猫を飼おうとしたのが先週までのあらすじ。
「うん。今度はドラゴンなんだよねー」
「マジかー。それはダメだわ。だってでかくなるじゃん」
「だよねー、いくら可愛いったって2Kのアパートでドラゴンは無理だよ」
「っていうかさ。そもそも大家がゆるしてくれないでしょ。猫だってだめだったんでしょ」
「うん。でも、彼氏いわく今回のドラゴンはあんまり大きくならないタイプなんだってさー」
「そう言って大きくなっちゃうのが、お祭りで買ったミドリガメ」
「そうそう、それ言ったんだけどさ。全然聞いてくんなくってー」
「あー、でもドラゴンアレルギーは無いんでしょ」
「ないよー。だからさ、あたしらが学生じゃなくて、夫婦でもっと大きな部屋借りてるならいいと思うのよ」
「あー、そうだね。そう言えばさ、金曜までのレポートの告示って見た?」
「あっ、見てない。教えて教えて」
 私はバックからスケジュール帳を出して一月の欄を開いて見せる。
「うわー、日本思想史のレポートって枚数五枚なんだー」
「あの内容で何書けってんだろうねー」
「あー、やっぱ家帰ろうかなー。これ今からレポートやんないと終わんないよねー」
「どうだろ、ネットに落ちてるの探せれば早いと思うけど」
「えー、バレるよ。コピペかどうか分かるソフト導入したって教授、言ってたし」
「マジかー。えーでもドラゴンいるんでしょ」
「あーでもまだ歯生えてないし、可愛いよ」
「でも大きくなるよー」
「大きくなったら考える。それより単位の方がヤバイわ」
「そっかぁ。じゃあもう帰る?」
「うん、ごめんねー。十二時なんかに呼び出して」
「ううん。大丈夫ー。どうせ暇だし。じゃあまたね」
「うん。ありがとねー」
 えっちゃんはそう言うとマックフルーリーを持って出て行く。私はスマホの時計を確認。十二時三十分。今日も平和ですばらしい。
作品名:女友達と 作家名:KYom