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神と主と小鳥と……。

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洋風の館についている庭に存在する小さな池の傍ら。
そこで座っている少女に少年である館の主は気が付くと手に持っていた小鳥とエサを机の上に置くと静かに少女へと近づいた。
「また、来ていたのかい?」
 水に触れていた手を離すとゆっくりと少女は振り返り館とはミスマッチな和服の主を見つけた。
「私がどこにいようと勝手だと思うが?」
「それでもここは俺の家だから」
主も池についている段差に少女と同じように座ると池の中を見た。
 優雅、しかし自由に泳いでいる鯉たち。
 少女は池から視線を上げると山の下にある街々を見た。
「……この国は平和だな」
「それが取り柄だけの国だからね」
 木々が揺れる。
 風によって舞う葉に紛れて一羽の小鳥が少女の膝上にやってきた。
「それでも、いつかはやって来る」
少女は地面に手をついていた手を離すと小鳥の首元へと持って来た。
 首を数度傾げていた小鳥だったがすぐに少女の手にすり寄ってくる。
「たとえ、人が幾度も地獄を経験しようがそれは一瞬のこと。人が積み重ねた罪を消すことなんてできやしないんだ」
館の机から飛んでいく小鳥たち。そして少女の膝上にいる小鳥もつられて飛んでいく。
 一枚、また違う小鳥から一枚抜け落ちていく羽。
 少女は舞っている羽を手で受け止めた。
「最後の審判は無慈悲だ。人の未来の終末は最後の審判で終わる」
少女は手を傾けると一枚の羽は水の上へと着地した。
 沈んでいく羽。ゆらりゆらりとする羽。
主は一枚の羽を水から救い上げた。
「それでも審判には無罪と有罪がある」
羽から一滴の水が落ちる。
「君は――」
主は羽を太陽にすかす。
 光によってきらめく羽の水滴。
「どっちにするんだい?」
少年は羽越しに蒼い空へと羽ばたいていく小鳥たちを見た。
「--神様」

神はゆっくりと目を閉じた。