コメディ・ラブ
「お前、なんだかんだ言って一番楽しそうだったな」
「別にいいでしょう。たまにしか来ないんだから。っていうかあんたが勝手に連れてきたんでしょうが!」
「車に乗ってきたのはそっちだぞ。俺は別に誰でもよかったのにな」
「……じゃあ優海ちゃんでも誘えばよかったのに。あっ優海ちゃんとじゃ目立つもんね」
そう吐き捨てると、晃が急に私の手を握る。
「俺はお前と来たかったんだ」
ジェットコースター並みに急な展開に動揺しながら、私は必死に口から言葉を出す。
「……あー楽だからね。気使わなくていいし」
あいつは叫ぶ。
「そうじゃないよ。見ろよ!」
私が後ろを振り向くと、後ろの高層ビルの明かりが一斉に消え、ハート型につき直した。
どこからか軽快な音楽がな流れてきて、次から次へと通行人がダンスに参加してくる。
どこからかクレーンが現れ、中に乗った人が照明器具を操作している。
気付いたらカメラマンが横に来て私を撮影している。
これってもしかして……
音楽が終わり、人々が私と晃を取り囲むようにダンスを終えた。
次の瞬間、私の足元に一斉に小さな電球がつき、光の道ができた。
光の道の先には、シンデレラ城みたいなイルミネーションが輝いていて、中心にはガラスの靴が光っている。
間違いない、私は確信した。
晃はそのガラスの靴を持ってきた。
「俺はようやく気づいたよ。お前が俺のシンデレラだったんだな。さぁシンデレラ、ガラスの靴をお履きください」
自分でも驚くほど冷静だった。
「……これ、いつ放送されんの?」
「放送?何だそれ?だから俺はお前が好きなんだ。ようやく気づいたんだよ」
「……昨日、お前なんか相手にしないって言ってなかったけ」
「……勢い余って言っただけで、俺はお前が好きなんだって」
「……いや、だからもういいって。これ素人ドッキリでしょ?あれでしょ?急に晃に告白されたら……みたいな」
晃は肩を落とした。
「火曜日の8時からのやつでしょ?大げさに喜んだ方がいい?ねぇ?」
そう簡単に騙されてたまるかって!!
作品名:コメディ・ラブ 作家名:sakurasakuko