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四神倶楽部物語

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 そんな暗黙のやり取りを魔鈴は素早く見て取ったのか、「それにね、宇宙検索エンジンのアプリーケーション・ソフトも全部差し上げるわ。これはね、四神民族だけが持ってるものなの。宇宙や魔界のすべての情報が入ってるわ」と、さらに魔界含みのことを話すものですから、今度は佳那瑠に火が点きました。

「えっ、私、それ欲しい!」
 佳那瑠はまたまた、まったくの真っ直ぐです。それに応じるかのように、魔鈴は引き出しから1枚のCDを取り出しました。そして、「はい、どうぞ」と佳那瑠に手渡しました。
「佳那瑠さん、これ、みなさんのパソにインストールしてみて。宇宙検索エンジン・四神王にアクセスできるわよ」と、とにかく魔鈴の言葉は力強かったです。

 それにしても佳那瑠はよほど嬉しかったのでしょう、手を震わせながら受け取った1枚のCDを胸の谷間へとそっと包み込みました。そのあとは、ただただ沈黙してやがんの。
 多分嬉し過ぎて、お礼の言葉も出てこなかったのでしょうね。それを察してかミッキッコが「魔鈴さん、ありがとう。これで百万馬力のパワーを頂いたわ。でも、なぜこんなにまでも私たちにしてくださるの?」と、幼友達が言いたかったことをフォローします。

 それを横で聞いていた、ミッキッコの兄と名乗る貴虎が、こんな妹を気遣ってのことなのでしょうか、優しい口調で、「それはね、青龍、白虎、朱雀、玄武、それぞれの民族が結集した四神倶楽部、それがやっと地球の日本で発足したんだよね。これからは何らかの形で世の中にもっと関わっていく。そうだよ、そういう宿命を受け容れて行く、そんな時期がきたということなんだよ」と。
 こんな話しを聞かされて、黙り込んでしまった私たちに魔鈴が気遣って、優しく微笑みかけてくれました。
「みなさん、どうするかの結論は、帰る時に聞かせてもらったらいいから。だけど、折角の機会だから、私たちの活動をしっかり見ていって欲しいの」

 確かにそうかも知れません。
 私は「そうさせてもらうよ」と結論付けました。そして、それと同時に、今回の私たちの慰安旅行、魔鈴がそれに期待していた全貌が見えてきたような気がしました。

考えようによっては、今回の旅は研修旅行なのかもとふと思った時、魔鈴が「さっ、みなさん、堅いお話しはこの辺までにして、かってみなさんが遊んだ村へと案内しますわ」と気を遣ってくれました。そのお陰で、あとは魔神村で一日を楽しみ、遠い過去を思い出したのです。私たちの四神倶楽部の四人と、グリーンスターの四神倶楽部の四人は、確かに兄弟姉妹であると。

 このように第三日目に得たものは多く、みんな充実した気持ち一杯で、地底都市にあるホテルへと戻ってきました。




作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊