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四神倶楽部物語

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 しかし、それにもまして驚きましたよ。
 宿泊客が朝食のために集まって来るのですが、まあいろいろな高等生物がいるものなんですね。髪の毛が蛇のゴーゴン、それに一つ目のサイクロプスが、他に女戦士のバルキリーに、黄金の剣を持つクリュサオルも朝食を取ってました。
 私たちは四神の末裔でありますが、姿形はホモサピエンス、反対に向こうの目から見て奇異に思われてたようです。じろじろとした目線を感じました。

 このような慌ただしい朝食を終えて、しばらくホテル内の土産店などを見て回っている内に時間となりました。そして私たち四人はチェックアウトし、昨日とは逆に、扉を通ってカプセル内の大きな空間へと戻りました。すぐさま身体が膨れ上がるのを感じました。
 するとみるみる内にそびえ立つ壁は低くなり、大きな空間はあっという間に、四人が入ってられるだけの、2メートル四方の窮屈な密室となりました。そのままの状態で5分ほど待ったでしょうか、ゴゴゴーと音と揺れの中で、宇宙カプセルは停止しました。それからカプセルのドアはシュワーという空気音ともに開きました。

「さあ、行くぞ!」
 私はみんなに声を掛け、外へと踏み出しました。そこでまず最初に視界に入ってきたもの、それは鬱蒼(うっそう)とした森でした。また足下を見れば、そこには深淵な沼があります。すなわち、突き出た桟橋にカプセルは停泊していたのです。

「宇宙カプセルの停車駅って、なんでいつも水のあるところなんでしょうね」佳那瑠が不思議がってます。
「この沼の水って、多分、ずっと底の底まで水で、筒のようになっていて、そこへカプセルが入り込んで行って、表面温度を下げたり、スピードを落としたりするのかもな」
 悠太が一見賢そうな憶測を。だけど、中(あた)らずと雖(いえど)も遠からずのところもあるかな?

 それにミッキッコは「悠太君、この沼は異次元世界へ通じる底なし沼ってことなのね。なんとなくわかるわ」と、またいい加減な納得をしてました。こんな会話をしている時です、沼のほとりにある、蔓(つる)が巻き付いた小さな駅舎から若い女性の声が飛んできました。
「おにいさーん、こちらよ!」


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊