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四神倶楽部物語

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 目に青葉 山ほととぎす初鰹、私は仕事の手を休め、オフィスの窓から街の風景を眺めてみました。
 初夏の陽光がキラキラと光り、都会の街並みを輝かせています。そして街路樹の青葉は目映(まばゆ)く、容赦なく目に突き刺さってきてチクチクと痛いです。

 そんな新緑の今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 さて、私の仕事ですが、最近随分と盛り上がってます。と言うのも、ロイヤルクラブ・絆愛、そのさらなる充実と拡大を狙って、つまり会員さまからの忌憚のない要望を反映させ、より満足度を向上させる。そしてその結果としてニューセレブを創生させる。
 こんな企画を新しい軸とし運営し、加速充実させて行くため、新組織が設立されました。この新々プロジェクトがスタートしたわけです。

 私も一員としてプロジェクトに参画し、毎日猫の手も借りたい忙しさの中で頑張ってきておりました。お陰様でチーム全員が一丸となった努力と奮闘により、やっと先が見えてきました。よりドライブを掛けてやって行こうと全員が燃えているところです。そんな昨今であったわけですが、今朝、我がプロジェクトチームに一人の女性が派遣されてきました。

 私は朝っぱらから猛烈に忙しく、パソ画面の中に脳みそまでもを思い切り埋没させて役員への報告書作りに没頭していました。そんな時に、部長からチーム全員に声が掛かったのです。
「皆さん、おはよう。ちょっと手を止めて、こっちを見て下さい、紹介しまーす」

 私は資料作りの佳境に入ってましたので、画面から目が離せません。しかし、部長は少し間を取って、「今日から我々のチームで、一員として働いて頂きます、ハケンの貴咲佳那瑠さんです。みんな貴咲さんと協力し合って、目標達成のために頑張りましょう!」と。

 私はPCに釘付けとなっていたわけですが、この部長の紹介を画面越しに聞き、「なぬ? きさきかなる、って?」とギョッとなりました。

 部長の口から歯切れ良く飛び出して、私の頭上をぴゅーんと飛翔して行った名前。
 それは――きさきかなる。
 私は恐る恐るその名を呟き返し、画面から恐々(こわごわ)顔を上げますと、部長の横に……、女がまるで、アスパラガスのように突っ立っていたのです。

 そう、その女こそが貴咲佳那瑠。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊