四神倶楽部物語
その最初に届いたメールには次のようことが書かれてありました。まずはそれに目を通して下さい。
ロイヤルクラブ・絆愛 高瀬川龍斗様へ
突然のメールで申し訳ございません。
私は会員の沙羅(さら)と申します。
いつもこのクラブ・絆愛(はんあい)で、いろいろな物を通販で購入させてもらってます。
ただ一つ言わせてもらえば、私の夢を実現させるためには物理的な物だけではなく、ここのクラブ名にあるように、強固な絆(きずな)というようなものを手に入れたいのです。
そこでご相談をしたいのですが……、私は困ってます。
まことに不躾で申し訳ないのですが、ぜひ私を助け出してください。
実は、私に……、運命の日が迫ってきています。
その運命の日とは、この連休中の5月3日です。その日が、どんどんと近付いてきております。
私にとって、運命の日がどういうものなのか、それを正直に申し上げますと、驚かないで下さいね。
実は──越えられないのです。
この迫りくる5月3日という日、その日の向こうに、私は行くことができないのです。
多分、信じてもらえないかと思いますが、
つまり私の中にある時の流れ、それが5月3日で、ピタリと止まってしまうのです。
そして私は、そのままの状態で、ずっと生きて行かなければなりません。
私の運命の日、それは5月3日。
そして今、それを越えられない私がここにいます。
絆愛の担当者の高瀬川龍斗様、どうかお願いです。こんな宿命を背負った私を、その絆と愛で助けて出して下さい。
沙羅より