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四神倶楽部物語

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 私は高瀬川龍斗、世間ではそこそこ名の通ったネット通販会社に勤めています。職責での立場は中堅どころ。自分で言うのも厚かましいのかも知れませんが、割に出来るんですよ、……、仕事が。ここではあえてそう言わせて下さい。
 だって、社長なんかにエレベーターでばったり会ったりすると、「高瀬川君、頑張ってる?」って声を掛けられたりします。経営から結構期待されているんじゃないかと勝手に解釈したりしています。

 えっ、これって、思い上がり過ぎですか? そらそうですよね。社長との遭遇、そしてお言葉を頂く、こんなことって、誰にでもありますよね。

 しかし振り返ってみれば、ここに至るまで、私にもいろいろな人生の岐路がありました。それらが私の運命のすべてだと言うほど大した話しではありませんが、この会社に勤められたのも、天から与えられた贈り物だと思っています。

 部長から聞かされた話しですが、私はほとんんど不採用だったそうです。だけれども社長が、あいつちょっと面白いかも、と私の採用に最後まで拘(こだわ)ってくれたとか。そのお陰で、今の自分があるのかなあと感謝してます。
 実のところ、私は金融関連の外資系企業に入社したかったのです。生き馬の目を抜くようなビジネス社会で、自分の力を試したい、そう思っていました。しかし、これはきっと何かに導かれた運命だったのでしょう。その面接日に遅刻してしまいまして。こんなの初めから失格ですよね。それでまるっきりの方向転換をしたのですが、どこも採用してくれません。

 しかし、こんな大甘(おおあま)ちゃんの私を、この会社が拾ってくれました。その後、上司や同僚、それにスタッフから多くのサポートをもらいながら、それはそれなりに頑張って参りました。一介のサラリーマンではありますが、この会社での仕事が自分の天職だと思っています。

 そんな中で、禁断の扉をついつい開けてしまって、佳那瑠に出逢ったのですが、仕事が忙しかったからか、それとも友人を不幸に追い込むことが恐かったのか、深みに嵌まらずに、佳那瑠との関係は単なる友人止まりで、彼女はアパートを去って行きました。

 皆さまにも御心配をお掛けしました。それにしても、佳那瑠もまあさっぱりしたものでして、どう表現したらよいのでしょうか、今は時々会う従兄弟みたいな関係になってます。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊