小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

四神倶楽部物語

INDEX|132ページ/149ページ|

次のページ前のページ
 


 初めてのミッション遂行、それは土蜘蛛星人の女王蜘蛛をこの世から葬り去ること。私たちはそう決意したのですが、具体的な手段をそう易々と思い付きません。
 富士山麓にある青木ヶ原樹海、そこに三つの洞窟があり、それらを結んだ三角形の中心に未だ知られていない百鬼洞穴があります。そして、その地底深くに土蜘蛛星人の女王蜘蛛が潜んでいます。

 なぜこの女王蜘蛛はそんなところにいるのでしょうか?
 その魂胆はわかってます。富士山の地底10キロメートルの所に、大きなマグマ溜まりが存在することが魔界王解析システムによりわかりました。

 そもそも日本列島は太平洋プレートが列島下へと潜り込み、地底には多量のマグマがあります。そしてその活動の結果として、北海道から浅間山、八ヶ岳、富士山、伊豆七島、硫黄島へと抜ける火山弧を形成しています。その中で最も大きな複成火山が富士山なのです。

 1707年、マグニチュード8.4の宝永東海地震が発生しました。それが引き金となり、その四九日後に富士山の宝永大噴火が起こったのです。その噴火の影響は甚大で、横浜で10センチメートルの火山灰が積もり、また江戸においても、昼間でも暗く行灯(あんどん)が必要だったとか。
 それから約300年の月日が経ちました。富士山の地底には相当量のマグマが堆積し、高圧状態となっていると充分推測されます。

 土蜘蛛星人の女王蜘蛛はそこへと穴を掘り進め、そこから一気に圧を抜き、すなわち噴火をさせようとしています。そして、この大噴火により日本を騒乱状態に落とし入れ、それに乗じて世の中を支配しようという謀略なのです。そんな極悪非道を企む女王蜘蛛、深い穴から外へと引きずり出し成敗したい。

 しかし、一体どのようにして天誅(てんちゅう)を加えたら良いのでしょうか?
 穴から出てきた時に、一刀両断にする。それを断行するにしても相手は強過ぎます。それともいっそ爆薬を穴に仕掛けて、ドーンとやるか?
 しかし、それはあまりにも危険過ぎます。なぜなら誘拐された幼稚園児や若きリーダーの坂本氏が地底のどこかにいる可能性があります。また頑強な兵士蜘蛛が多くいて、何をしでかしてくるかわかりません。私たちはミッション遂行の意志はあるのですが、妙案がなくほとほと困り果てました。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊