桜
私が悠斗と出会ったのは、小学校に入る年
見知らぬ街の、見知らぬ景色の中で、悠斗の存在が私の唯一の
現実的なものだったのだと、今思えばそう理解出来る
人見知りが激しく、打ち解けるのが苦手な私が
悠斗とは、すぐに仲良くなる事が出来た
学校への行き帰り
悠斗と過ごす時間が、一番楽しかったのを覚えている
紛れもなく初恋だった
いつも一緒で、からかわれる事もあったけれど
私は悠斗がそれを嫌がってるのではないかと考えもしたけれど
平然としている悠斗を、子供心に頼もしく感じて
余計に好きになっていた事も覚えている
中学に上がる時
父が亡くなった
突然の出来事だった
母と共に打ちひしがれ、泣いてばかり居たけれど
何よりも辛かったのは、引っ越さねばならないという現実だった
もしかしたら、もう二度と悠斗には会えないかも知れない
そう、不謹慎にもそう考えていたけれど
互いの気持ちが同じだと判った事で、遠く離れてしまっても
大丈夫だと思えた
そう思っていた
あの時は・・・・・・