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「ごめんごめんごめんごめん」

既にどっぷりと暮れた冬間近の町
二人の馴染みの店のドアを入るなり、冬香はそう叫びながら
待ちつかれた顔つきの悠斗の方へと小走りで駆け寄った

「お前、ごめんを連発すれば俺が許すと思ってるのか?」

「仕方ないじゃない 仕事が押してたんだもん」

大して悪びれた様子も無くそう答える

「打ち合わせしないといけないって判ってるんだろうな?」

少々うんざりした声で、さして怒ってもいない訳だが
責めている事をアピールする

「判ってるって
でも、もう大して打ち合わせする事も無いでしょ?
うちのお母さんは海外挙式でいいって言ってるし
悠斗んとこも、折れてくれたんでしょ?」

冬香は上着を椅子の背にかけながらそう言った

「まぁな
けど、ちゃんと挨拶しに行かないとな」

「今更?もういいんじゃない?」

「お前んちは母一人子一人だからな
お母さん、一緒に住まなくていいのか?」

「いいのよ 頑固なんだから
まだまだ元気だから、年寄扱いするなって言うんだもん」





俺たちは、もうすぐ結婚する
世の中の恋人同士が、互いの将来を重ねようとする時と同じように
俺たちも、二人で生きて行く事を決意した

けれど、世の中の恋人同士の間に
人には判らない様々な事があるように
俺たちにも、色んな事があったんだ

作品名: 作家名:fool