小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
でんでろ3
でんでろ3
novelistID. 23343
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

鋼鉄の迷惑

INDEX|8ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

第8話 留守番電話



 その日、颯太は部屋にいなかった。鋼鉄の迷惑だけが、いつものように、コタツの天板中央に鎮座ましましていた。

 そのとき、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。そして、何か見えない力で、受話器を持ち上げた。
「ぉーぅ、あーなたは、神を、信じ、ますか~?」
今時、まだ、そんな人がいるのか? というくらいコテコテの外人なまりの声が聞こえてきた。
「もし、もーし。もし、もーし。……聞いてらっしゃいますかぁ~?」
しばらくして、相手はあきらめて、電話を切った。
 鋼鉄の迷惑は、受話器を置くと、コタツの上へと戻って行った。

 しばらくして、また、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。そして、何か見えない力で、受話器を持ち上げた。
「もしもし、ダイレクトメールを送ったのに、申込書を送ってこないって、どういうことですか?」
開口一番、何かいきなりキレている人だった。
「返信用封筒に切手まで貼って送ったのに、申し込まないってどういうことですか? うちは、天下の○○○ですよ。当然でしょう? もしもし、聞いてますか? もし、もーし。もし、もーし。……」
しばらくして、相手はあきらめて、電話を切った。
 鋼鉄の迷惑は、受話器を置くと、コタツの上へと戻って行った。

 しばらくして、また、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。そして、何か見えない力で、受話器を持ち上げた。
「もしもし、3丁目の石井ですけど、おかめそばとけんちんうどん、大至急。とにかく早く持ってきて。よろしく」
相手は、それだけ早口に言うと、叩きつけるように電話を切った。
 鋼鉄の迷惑は、受話器を置くと、コタツの上へと戻って行った。

 しばらくして、また、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。そして、何か見えない力で、受話器を持ち上げた。
「や、やばい。奴らが、やって来る。俺にかまうな。逃げろ。逃げてくれッ……ウッ」
鈍い、何かを思い切り叩く音がして電話は切れた。
 鋼鉄の迷惑は、受話器を置くと、コタツの上へと戻って行った。

 しばらくして、また、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。そして、何か見えない力で、受話器を持ち上げた。
「はぁはぁはぁ、ねぇねぇ、今、どんな格好してるの? はぁはぁはぁ、ねぇねぇ、今、どんな下着つけてるの?」
何かを期待してかけているようだが、その期待が大きく裏切られていることを教えるすべはなかった。
 鋼鉄の迷惑は、受話器を置くと、コタツの上へと戻って行った。

 しばらくして、また、部屋の隅の電話がけたたましくなった。
 鋼鉄の迷惑は、ついっと電話のところに飛んでいき、着地した。ナンバーディスプレイが颯太であることを知らせている。何か見えない力で、受話器が持ち上げられるや否や、颯太は言った。
「しゃべれないなら、電話に出るな!」
作品名:鋼鉄の迷惑 作家名:でんでろ3